日立製作所(以下、日立)は、栃木県と栃木県国民健康保険団体連合会(以下、栃木県国保連)に、AIを活用した保健事業支援サービスの提供を開始したと発表。

2021年6月から、栃木県内において糖尿病の重症化予防に向けた同サービスの本格運用が開始されたとのことだ。

栃木県では、県民の糖尿病重症化予防のため、2017年度から「栃木県糖尿病重症化予防プログラム」に取り組んでいる。同県の生活習慣病の一つである糖尿病患者数が、約5万5千人と全国平均を上回り年々増加。

県独自の予防プログラムである「栃木県糖尿病重症化予防プログラム」では、県民のレセプト・健診データを用いた保健指導対象者の抽出や、保険者と医療機関が連携した保健指導といった効率的な糖尿病重症化予防施策を進め、さらに、2018年度には、プログラムの基準に基づく対象者を抽出する独自の仕組みを構築したとのことだ。

一方、保健指導対象者が多いことから、保険者が緊急に対応すべき指導対象者の選定に苦慮し、より効率的・効果的な仕組みが求められていたという。

そのため、日立は、「栃木県糖尿病重症化予防プログラム」の一環として、同サービスを提供し、栃木県内において6月より本格運用が開始。

今回、日立は、糖尿病を含む生活習慣病に関わる将来の受診や入院のリスク、医療費を精緻に予測可能な日立の医療ビッグデータ分析技術・ノウハウを活用し、匿名化した県民のレセプト・健診のデータを用いて糖尿病の重症化予測に特化した栃木県独自の予測モデルを構築。

この予測モデルを活用することで、空腹時血糖をはじめとした血液検査数値や過去の病歴など健康状態に関わる項目と糖尿病重症化リスクを結び付け、先の5年間において、糖尿病が現状から重症化し、受診や入院が必要になる確率を算出することができるという。

また、同サービスでは、被保険者単位で糖尿病既住歴の有無などから将来の発症リスクを3段階で判定し、合併症の発症や人工透析が必要となる確率を予測・可視化することが可能。

これらの指標を参考に、保険者が緊急度に応じた効果的な受診勧奨や保健指導の実施ができ、さらには重症化予防が期待できる。

日立は、今後、栃木県と栃木県国保連との取り組みにより培ったノウハウを生かし、同サービスの他自治体への展開をめざすとともに、保健指導のさらなる効率化を目的に遠隔保健指導アプリケーションや保健指導効果測定の事業展開を図るなど、幅広いユーザーの課題解決に貢献していくとしている。