パーソルホールディングス、ならびにエクサウィザーズは、「HRにおけるパーソナルデータ・テクノロジーの利活用研究会」を2月より発足したと発表した。
まずは新卒採用の領域において、学生も企業も安心して、適切かつ積極的にパーソナルデータ・テクノロジーを利活用できる状態を目指していくという。
学生の意識調査・インタビューを通して一人ひとりの声に向き合うとともに、各種セミナー・情報発信を通じ、企業におけるパーソナルデータ・テクノロジーの適切な利活用を促すことで、学生一人ひとりが納得感を持ち、より良いファーストキャリアの選択ができる、新卒採用の仕組みと体制構築に取り組むとのことだ。
今回第一弾として、新卒採用領域における学生のパーソナルデータ・テクノロジーの利活用に関する意識調査の結果を発表した。
調査では、新卒採用における就職活動への問題意識がある学生が多いものの、パーソナルデータやテクノロジー活用で解決・改善する余地がある結果になった。
具体的に、就職活動におけるデータ利活用について、「企業とのマッチング向上」「手間の改善」への期待がある一方、「データによる先入観」「情報利用の用途・選択権」に対する不安・懸念が明らかとなったという。
これらの学生一人ひとりの声に真摯に向き合い、利活用の目的・用途に関する事前説明や事前合意を丁寧に行っていくこと、学生側に情報利用の用途・選択権などわかりやすく明示することが、パーソナルデータ・テクノロジー利活用における大事なプロセスであることがわかったとしている。
詳しい調査内容、結果については、3月30日実施予定の勉強会にて報告されるとのことだ。
なお、同研究会では参加企業が有する個人情報を取り扱った活動は行わず、法令順守で運営される。
今後は研究会で扱うテーマをHR領域全般に拡げ、学生参加型のディスカッションを継続していきながら、パーソナルデータ・テクノロジーの利活用について学生を含む個人の意見を調査・情報発信することで、個人の利便性や納得性の向上、また企業における適切な活用推進につなげ、一人ひとりが活躍できる社会の実現を目指していくとしている。
同研究会発足の経緯として、以下の3点を挙げている。
・社会的背景
近年のAI、IoT、ビッグデータなどの先端技術の発展に加え、内閣府が「Society 5.0」を提唱するなど、人々に豊かさをもたらす“超スマート社会”の実現を目指す動きが活発となっている。今後、あらゆる産業や生活の場面において、パーソナルデータと先端技術を活用したさまざまなサービスが提供されるようになると考えているという。
・学生の抱く期待と不安
同研究会が学生を対象に実施した調査によると、就職活動におけるデータ利活用については、「企業との相性が分かる」「選考理由・結果の明確化」「エントリーシートが不要になる」など期待をしている学生も多いことが分かった。
一方、不安・懸念点として、「先入観を生みかねない」「AIなどによる処理で判断されてしまう」「情報の利用用途が不明瞭」「利用されたくない場合にまで利用されかねない」などの意見も多数あり、個人の納得性と利便性を両立できるような利活用が必須になっているとのことだ。
・HRにおけるデータ活用の現状
一方、採用などHR領域においては、パーソナルデータの利活用がまだまだ積極的に推進されていないのが現状。同研究会が企業の人事担当者に行ったヒアリングでは、「テクノロジーを活用し生産性を向上させ、学生と向き合う時間を増やしたい」「データを活用し、採用を科学していきたい」という声が多くあることが判明。
特に昨今の新卒採用においては、学生のパーソナルデータの利活用における透明性や、本人の選択権をどう担保するかが課題となり、積極的な活用にまでは至っていないとしている。
パーソルホールディングス 代表取締役社長 CEO水田正道氏は「パーソナルデータ・テクノロジーの利活用は、個人・企業の利便性が上がるだけでなく、就業機会の拡大やマッチングの向上など、より良い雇用環境の実現につながると考えています。さまざまな企業や有識者の協力を仰ぎながら、多くの方が安心してパーソナルデータ・テクノロジーを預けられる社会を目指してまいります」とコメントしている。