KDDI、日立製作所(以下、日立)、日本電気(以下、NEC)、沖電気工業(以下、OKI) は、「AIネットワーク統合基盤」を活用し、5Gネットワーク障害時の自動復旧システムの有効性を確認する実証実験を1月25日から開始した。

同実証実験は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT) と共同で受託した総務省情報通信技術の研究開発における「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」の一環として取り組み、2023年以降の社会実装を目指すという。

5Gでは、IoTやコネクティッドカーなど、通信があらゆるモノにつながることで多種多様なサービスを提供する一方で、新サービスの開始や予期せぬサービスの急激な利用増によるボトルネック発生などの障害も想定されるとのことだ。

また、多くのモノがつながることで複雑化するネットワークにおいても、サービス品質を満たすネットワークの構築や、運用技術の確立が不可欠だとしている。

同研究開発では、ネットワーク事業者、システムインテグレーション事業者、サービス事業者が連携し、AIの活用により、5Gのスタンドアローン構成で主流となる仮想化されたネットワークを自動的に構築・運用することを目指す。

これにより、AIがネットワークの障害を検知した際に、例えばコネクティッドカーの通信制御をマルチアクセスエッジコンピューティング (以下、MEC)に配置し最適化するなど、自動的にネットワークを再構築することで、ボトルネックの解消を図るという。

具体的には以下の課題解決を図る。
課題I「AIによるネットワーク運用技術」(KDDI、NICT)
課題II「AIによるネットワークサービス自動最適化運用制御技術」(日立、NEC)
課題III「データ連携によるネットワーク機能動的制御技術」(OKI、KDDI)

実証実験は、NICTが運営する「JGNテストベッド」を用いて、ネットワーク機能を仮想化した5Gコアネットワークに加え、MEC機能やクラウド機能を構築して行われる。

また、総務省の「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発 (JPMI00316)」によって実施した成果を含むとのことだ。

なお、同実証実験により得られた成果については、2021年3月に行われる一般社団法人電子情報通信学会が主催する総合大会での発表を予定。

今後も、KDDI、日立、NEC、OKI、NICTは、世界に先駆けたAIによる運用自動化技術の確立に向けて研究開発を進め、Society5.0の実現や、国際競争力の強化に寄与できるよう取り組んでいく方針を示している。