国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)と資生堂、住友商事、ソニー、日本たばこ産業、マツダ、ヤマハ、ヤマハ発動機、リクルート、BLBG(ブリティッシュ・ラグジュアリーブランド・グループ)は共同で「先端アートデザイン社会連携研究部門」を設置したことを発表した。

2030年に向けたSDGsをはじめ、現在、あらゆる人を受容するインクルーシブな社会の構築、社会のデザインが極めて重要となっている。

これらの複雑な課題に対しては、客観的に導かれる最適解だけで対処することは不可能であり、人と自然と科学技術の在り方を包括的な視座から捉え直し、取り組んでいくことが必要となるという。

同研究部門では、世界を先導する企業および東大先端研の研究者、アートデザイン領域の第一線のプロフェッショナルが分野横断的な研究グループを組織し、多様な視点から生み出されるアイデアをスピーディに社会実装していくとともに、これらの複雑化する社会の諸問題にバランスよく立ち向かえる未来の人材育成を目指すとしている。

人間中心の個の解、「差」を求める西欧思想をベースとした科学技術の発展は、同時に私たちの住む社会環境や自然環境において、様々な精神的・身体的なストレスや、環境破壊などの歪みをもたらしている。

令和の時代が開けた今日、森羅万象を大切に考える東洋思想、とくに日本が培ってきた自然と共生する生き方、すべてを包括的に捉える「和」の視点に基づく科学技術の発展が求められる。

今日の諸問題に対し、「Nature-Centered(自然主義)」の概念を新たに掲げ、様々な研究領域の考え方を統合した「和」のクリエイティビティを発揮することで、自然と社会のバランスよい問題解決をしていくことが重要であるとのことだ。

東大先端研は、1987年の設立当時から、文理融合の学際的研究拠点として発展してきた研究所。

同研究部門における研究活動も、その理念に則り、多様な人材が経験と知識を共有し、互いに気づきを与え合う過程を大切にしながら、種々のプロジェクトを展開していくとしている。

これらのプロジェクトは、研究部門内に開設するデザイン、アート、デザインエンジニアリングの3つのラボを横断する形で推進される。

デザインラボは、20年以上に渡りイタリア・ミラノを拠点に国際的に活躍するデザイナーでミラノ工科大学等にて教鞭をとる伊藤節および伊藤志信が、アートラボは、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターでありバイオリニストの近藤薫が、デザインエンジニアリングラボは、TANGENTの創業者でこれまで英国ロンドンを拠点に活躍してきたデザインエンジニア吉本英樹が、それぞれ中心となり進めるとしている。

また、東大先端研所長で生命知能システム分野教授の神崎亮平氏が、部門の研究統括を担い、アートデザインの関連領域において世界をリードして活躍している人々が、「先端アートデザイン分野アドバイザー」(添付資料)として迎え、東大先端研の連携協定機関とともに、同研究部門の発展のため協力するとのことだ。

これらの研究活動に加えて、2021年4月より東京大学大学院工学系研究科博士課程である先端学際工学専攻において、同研究部門教員、先端アートデザイン分野アドバイザー、また異分野からも最先端の研究者を迎えて、インクルーシブな未来のありかたについて、多様な角度から包括的な議論を展開する授業科目「先端アートデザイン学」を開始し、人材育成にも力を入れていくとしている。

社会連携研究部門概要

名称:
(和文)先端アートデザイン社会連携研究部門
(英文)Advanced Art Design Laboratory

設置期間:2021年1月1日~2025年12月31日(5年間)
設置機関:国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター

連携機関:
資生堂
住友商事
ソニー
日本たばこ産業
マツダ
ヤマハ
ヤマハ発動機
リクルート
BLBG(ブリティッシュ・ラグジュアリーブランド・グループ)

研究統括:神崎 亮平氏(教授、東京大学先端科学技術研究センター所長)