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グーグル検索2020年、世界急増ランキング
2020年は世界中の人々にとって、仕事・生活の様々な側面が大きく変化した年となった。その変化は、人々が普段利用するグーグル検索にも反映されている。
2020年12月、グーグルは同年の検索トレンドをまとめた「Google’s Year in Search 2020」を公表。世界中・各国ごとに、前年に比べトラフィック数が急増した検索キーワードをランク付けしている。
「すべての地域」における検索急増(総合)ランキングは、以下のような結果となった。
1「Coronavirus」
2「Election Results」
3「Kobe Bryant」
4「Zoom」
5「IPL」
6「India vs New Zealand」
7「Coronavirus update」
8「Coronavirus symptoms」
9「Joe Biden」
10「Google Classroom」
これは「すべての地域」のランキングではあるが、米国を中心とした英語圏の検索トレンドを強く反映したものであることに留意が必要だ。日本人にとってピンとくるキーワードもあれば、そうでないものもあるだろう。
総合ランキングに関しては、他のメディアでも紹介されている。本記事では、少し異なる切り口で世界各地の検索トレンドを見てみたい。
2020年世界を圧巻した「どうぶつの森」と「Among Us」
まず、ミレニアル世代/Z世代のトレンド理解において重要な要素となる「ゲーム」を見てみたい。
「すべての地域」におけるゲーム分野の検索トレンドの1位となったのは「Among Us」だ。Among Usは2018年にリリースされたゲームだが、ロックダウンの影響やTwitchインフルエンサーによって、2020年9月頃から検索数が急増、YouTubeではAmong Usを題材にした動画「AMONG US, but with 99 IMPOSTORS」(10月9日公開)が1カ月で視聴回数1億回を突破するなど、話題に事欠かないゲームとなった。この動画は2021年1月15日時点で、視聴回数は約2億回に達している。
ニールセンのデータ(2020年)によると、同年11月だけでAmong Usのアクティブユーザ数は5億人近くいたという。
Google Trendsで、Among Usの地域別の関心動向を調べてみると、1位フィリピン、2位トリニダード・トバゴ、3位エクアドル、4位ペルー、5位ホンジュラス、6位ボリビア、7位チリ、8位パラグアイ、9位パナマ、10位メキシコと、中南米が世界のAmong Usトレンドをけん引している様子を見て取ることができる。
「すべての地域」におけるゲーム分野の検索トレンド、全体では以下のようなランキングとなった。
1「Among Us」
2「Fall Guys: Ultimate Knockout」
3「Valorant」
4「Genshin Impact」
5「The Last of Us 2」
6「Ghost of Tsushima」
7「FIFA 21」
8「Animal Crossing」(どうぶつの森)
9「Call of Duty: Warzone」
10「ドラクエ ウォーク」
Among UsとFall Guysは日本でも話題となったゲーム、日本人にとってもしっくりくるランキングといえるかもしれない。「ドラクエ ウォーク」は、英語ではなくカタカナのキーワードがランクイン。日本のゲーム市場の影響力の大きさを示している。
8位の「Animal Crossing」(どうぶつの森)はロックダウンの影響で、日本だけでなく世界的にブームとなった任天堂スイッチのゲーム。このゲームをプレイしたいがためにスイッチを購入したという人は少なくないといわれている。前年との比較ではなく、2020年に限定したGoogle Trendsの検索指数比較では、Among Usを上回っている。
Among Usとどうぶつの森は、2020年世界のゲーム市場を盛り上げた2大ゲームといえるが、その関心動向が各国ごとに大きく異なっているのは興味深い。
Google Trendsで2つのゲームの関心比率を国別に見てみると、どうぶつの森に比べAmong Usに対する関心動向が高い国のトップはインド。その関心比率は、Among Usが94%、どうぶつの森が6%。このほか、Among Us比率が高いのは、コロンビア、アルゼンチン、ブラジルなどで、上記で述べたように中南米の国が多い。
その対局、どうぶつの森比率が最も高い国はフランスで、Among Us15%に対して、どうぶつの森は85%だ。このほか、どうぶつの森比率が高いのは、香港、ドイツ、カナダ、シンガポール、オーストラリア、イギリス、米国、スイス、オランダなど欧米諸国が多くランクインしている。
Among Usは基本スマホで無料でプレイできる一方、どうぶつの森はコンソールとソフトの購入が必要。所得水準の差がこの「Among Usーどうぶつの森関心比率」に反映されているのだろう。
英国で「カツカレー」検索が急増した理由
世界各国がロックダウンとなった中、多くの家庭では自炊が必須となり、そのこともグーグル検索に反映される形となった。
料理に関して、あまり良い評判をきかない英国では、どのような自炊トレンドがあったのか。
1「Bread Recipe」
2「Beef bourguignon」
3「School cake recipe」
4「KFC recipe」
5「White bread recipe」
6「American pancakes recipe」
7「Wagamama katsu curry recipe」
8「Sourdough starter recipe」
9「IKEA meatball recipe」
10「Soda bread recipe」
パンレシピの人気が高い中で、7位のカツカレーという言葉に目が留まる。英国でなぜカツカレー人気が高まったのか。これは英国の日本食チェーンWagamamaの調理責任者スティーブ・マングルショット氏が2020年4月、インスグラムとYouTubeで、カツカレーの作り方を公開したことがきっかけになったといわれている。
検索トレンドの今後、「世界の検索トレンド」はアメリカからインドへ
2020年グーグル検索トレンドは、インターネット上で今起こりつつある大きな変化を示すものでもある。それはインドの台頭だ。
冒頭で紹介した、2020年の「すべての地域」における検索急増(総合)ランキングに、そのことが如実にあらわれている。
1つは5位にランクインした「IPL」というキーワード。これはインドのプロクリケットリーグ「Indian Premier League」を省略した言葉。
クリケットは日本では馴染みのないスポーツだが、英国、オーストラリアやニュージーランド含め世界全体で10億人のファンがいるとされ、サッカーやテニスに並ぶ世界的なメジャースポーツの1つとして認識されている。国際クリケット評議会(ICC)の推計では、この10億人のファンのうち、90%がインドのファンという。
検索総合ランキングで「IPL」に次いで6位にランクインした「India vs New Zealand」もクリケット関連のもので、インドの検索トレンドを反映したキーワードだ。
これまでは、米国の検索トレンドが世界トレンドに大きな影響を及ぼしてきたが、インドのウェイトが大きくなっていることを示すランキングといえるだろう。
2020年世界のグーグル検索(総合)急増1位は「Coronavirus」だった。2021年は、コロナウイルスでない、ポジティブなキーワードが1位になることを願いたい。
文:細谷元(Livit)
Google2020年検索トレンド
https://trends.google.com/trends/yis/2020/GLOBAL/
ニールセンデータ
https://www.superdataresearch.com/blog/worldwide-digital-games-market