東京商工リサーチは、1月12日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が1件(倒産1件)判明し、2月からの累計は全国で867件(倒産797件、弁護士一任・準備中70件)となったことを発表した。

月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ったが、9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。

12月は100件を下回ったが、96件と依然として高止まりで推移。1月も12日時点で24件が判明し、100件ペースが続く。

なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計43件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計910件となった。

1都3県で緊急事態宣言が再発令されたが、関西3府県と愛知・岐阜も対象区域に追加される見通しとなった。飲食店に対する時短営業や外出自粛などで経済活動の停滞が広がり、今後さらに深刻な影響が懸念されるという。

感染拡大を防止する難しい舵取りが続く一方で、事業環境の悪化で新型コロナ破たんは増勢が続く状況が続いており、断続的な資金繰り支援が求められている。

負債1,000万円以上

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 東京都が全体の4分の1、30件以上は7都道府県 ~

都道府県別では、東京都が217件(倒産201件、準備中16件)に達し、全体の4分の1(構成比25.0%)を占め、突出している。

以下、大阪府が80件(倒産75件、準備中5件)、愛知県43件(倒産42件、準備中1件)、神奈川県(倒産34件、準備中4件)と兵庫県(倒産34件、準備中4件)がそれぞれ38件、北海道が35件(倒産34件、準備中1件)と続く。

12日は鹿児島県で1件判明した。都道府県別では10~20件未満が16府県、20~30件未満が3県、30件以上は7都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が149件、アパレル82件、建設69件、宿泊60件 ~

業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が149件に達した。緊急事態宣言の再発令の影響で飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。

次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が82件。工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が69件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が60件と続く。

また、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が43件、食品製造業も32件と目立ち、飲食業界の不振が関連業種にも影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

負債額が判明した850件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で313件(構成比36.8%)。

次に、1千万円以上5千万円未満272件(同32.0%)、5千万円以上1億円未満143件(同16.8%)、10億円以上と5億円以上10億円未満がそれぞれ61件(同7.1%)の順。

負債1億円未満が415件(同48.8%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した797件の形態別では、破産が705件(構成比88.4%)で最多。次いで取引停止処分が45件(同5.6%)、民事再生法が44件(同5.5%)、特別清算3件(同0.3%)と続く。

「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。

先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した801件の従業員数の合計は1万2,764人にのぼった。

801件の内訳では従業員5人未満が396件(構成比49.4%)と、約半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が154件(同19.2%)、10人以上20人未満が129件(同16.1%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。

従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。