中外製薬は、戦略的アライアンスを締結しているエフ. ホフマン・ラ・ロシュ社(以下、ロシュ社)が第III相EMPACTA試験が主要評価項目を達成したことを発表した。
EMPACTA(Evaluating Minority Patients with Actemra)は、通常、臨床試験に組み入れられることのない患者において、入院中のCOVID-19関連肺炎に対するアクテムラの有効性と安全性を評価する二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相臨床試験(EMPACTA、NCT04372186)。
登録された389人の患者の約85%は少数派の人種・民族から成り、大多数がヒスパニック系で、アメリカ先住民と黒人が大半を占めているという。
試験は、米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーで実施されたとのことだ。
同試験では、18歳以上のSARS-CoV-2(COVID-19)感染が確認された入院患者で、呼吸時の酸素飽和度(SpO2)が94%未満で、非侵襲的または侵襲的な人工呼吸器を必要としない患者が登録されたという。
主要評価項目は、28日目までに死亡または人工呼吸器を必要とした患者の累積割合となっている。副次評価項目には、死亡、人工呼吸器、集中治療室への入室または試験からの脱落(いずれか早い方)までの期間として定義されるclinical failure に至るまでの期間、28日目時点の死亡率、退院または退院待機状態までの期間が含まれるとのことだ。
今回の試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎患者において、アクテムラ®(トシリズマブ)と標準的な医療措置を受けた患者では、プラセボと標準的医療措置を受けた患者と比較し、人工呼吸器の使用または死亡に至る可能性が44%低下したことを示したという[p値=0.0348(log-rank検定)、ハザード比(95%信頼区間)=0.56(0.32~0.97)]。
投与開始28日目までに人工呼吸器の使用まで進行、または死亡した患者の割合は、アクテムラ投与群で12.2%、プラセボ群では19.3%となっており、EMPACTA試験では、アクテムラに対する新たな安全性シグナルは確認されなかったとのことだ。