Googleは、同社のマップサービス「Googleマップ」の交通状況およびルートの表示について解説する記事を同社の公式ブログにて公開した。
Google マップがどのように渋滞や最適なルートを表示しているかについて、少し掘り下げている。
まず、交通状況に関しては、ユーザーが Googleマップのナビゲーションを使うと、集合化された位置情報データが活用され、世界中の道路の交通状況が把握できるようになるという。
この情報は、現在の交通量の予測に役立つが、これだけではルート上で発生している渋滞が、たとえば10分後、20分後、50分後の交通量にどう影響するかまではわからない。
ここで、テクノロジーの力が必要となるとのことだ。
渋滞を予測するために、Googleマップは、過去の交通状況を分析し、たとえば、カリフォルニア州北部の州間高速道路 280 号を走行する自動車の速度が、午前6時から7時は時速100km、午後遅くには時速25kmから30km程度を示していると、Google は過去の交通パターンのデータベースとルートの現在の交通状況を組み合わせ、機械学習を使って双方のデータセットに基づいた予測を行っているという。
現在、Googleマップの到着予定時刻はすでに非常に高い精度を誇っており、これまでも予測の実に97%以上が正確に算出されていたが、Googleマップは、Alphabet AI研究所であるDeepMindと協力し最新の技術を用いることによって、渋滞予測の精度が更に向上したとしている。
具体的には、DeepMindと協同でGraph Neural Networks(GNN)と呼ばれる機械学習アーキテクチャを使用することで、不正確な到着予定時刻の表示される割合をさらに減少させ、ベルリン、ジャカルタ、サンパウロ、シドニー、東京、ワシントンなどで大幅な改善を達成したとのことだ。
こうした手法により、Googleマップは、「これから発生するかもしれない渋滞」による影響をより正確に予測できるようになったとしている。
なお現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、あらゆる場所で交通パターンが劇的に変化しているという。
2020年前半にロックダウン(都市封鎖)が始まったことにより、世界中で交通量が最大50%減少したという。現在、一部の国や地域では移動が解禁されていますが、規制が継続されているエリアも残されているとのことだ。
こうした急激な変化に機敏に対応するため、過去2週間から4週間の交通パターンを自動的に優先し、それ以前のパターンの優先順位を下げるよう、計算モデルをアップデートしたという。
また、Googleの渋滞予測モデルは、Googleマップの運転ルート選択の鍵であるとし、ルートの交通量が増えることが予測された場合、Googleマップは自動的に代替ルートを検索する。
ただし、ルート検索は、道路の種類などの要素も考慮に入れており、舗装路と未舗装路では、運転のしやすさが大きく異なるなどがありため、そうした困難なルートを推奨しないようにしているとのことだ。
さらに、停止発進の多い生活道路よりも、幹線道路の方が効率的な場合が多いため、道路の大きさや直進性なども確認し、ルートを提案しているという。
その他にも、地方自治体から提供される正確なデータ、そしてユーザーから提供されるリアルタイムの情報が最適なルートを推奨するために重要な役割を果たしている。
これらのデータにより、制限速度、料金所、道路工事や新型コロナウイルス感染拡大防止措置による通行止めなどを把握でき、運転者が道路情報を報告できる「レポートの追加」機能を活用して、道路や車線の閉鎖、道路工事、事故車両、落下物などをすばやく表示。
これらの情報は、土砂崩れ、吹雪、その他の自然災害などによる道路状況の予期せぬ変化の把握にも役立てられているとしている。
こうした情報を組み合わせ、Googleマップは、周辺の道路状況や事故情報に基づいて、自動的に代替ルートを提案しているという。
今後もGoogle マップは、渋滞を回避しながら、できる限り安全で効率的なルートを検出するツールやテクノロジーの開発に注力していくとしている。