日本通運は、GDP(医薬品の適正流通基準)の要求事項をハード、ソフト両面で実現し、より安心・安全な医薬品供給が可能な医薬品サプライチェーンネットワークを構築中であり、国内の核となる4拠点を順次稼働するほか、厳しい品質基準をクリアするため、日通独自で開発した医薬品専用車両を導入すると発表した。

医薬品サプライチェーンのグローバル化を踏まえ、世界の主要マーケットにGDPに準拠した拠点を展開し、グローバルレベルでのサプライネットワークを拡充していくという。

また、IoTやブロックチェーンといったデジタル技術を取り入れ、物流上の情報を一気通貫でとらえることにより、トレーサビリティや業務効率化をはじめとした、データドリブンでの業界全体のサプライチェーン最適化に貢献することを目指していくとのことだ。

同社は、従来からの原材料・製品の輸出入拠点である、いわゆる”メディカルハブ”の成田国際空港、関西国際空港に加え、東日本、西日本、九州、富山に医薬品に特化した拠点を建設中であるという。

GDPに基づく品質管理に加え、医薬品供給のBCP(事業継続計画)に対応するとともに、従来、顧客ごとに実施されてきた倉庫での保管および輸送の共同化や、車両のラウンドユースによるトラックドライバー不足への対応、業務効率化が可能なプラットフォームを構築しており、2021年2月にサービスを開始するとしている。

新設倉庫の特長は以下。

  • 入荷エリア、保管エリア、出荷エリアを明確に区分し、安全・確実なオペレーションを確保(東日本拠点、西日本拠点)
  • トラックドック、前室、シートシャッター、エアシャワー、エアカーテンを配置し、入出荷作業の際の防虫管理とセキュリティを確保
  • 定温、保冷の温度管理に加え、輸出入用の保税エリア、特殊医薬品エリアなどサプライチェーンのあらゆるニーズに対応
  • 保管エリアにおいては、温度を24時間総合監視
  • 災害等に備えた、免震構造(一部除く)および非常用発電設備の設置
  • 自動化設備導入による庫内オペレーションの高度化

また、導入する独自開発の医薬品専用車両の特長は以下。

  • 各種セキュリティシステムによる安全・確実なオペレーションの担保
  • 複数温度帯に対応した空調設備を完備し、夏季および冬季の厳しい環境下でのバリデーション実施済車両
  • 温度管理に加え、輸送中の動態管理を含めた温度監視システム

同社は、海外においても、インフラとフォワーディング機能を連携させ、医薬品物流要求事項に適合したグローバルレベルで安全性を保証する物流ネットワークの構築を進めている。

具体的には、海外の医薬品主要拠点にGDPに準拠したCFSの建設を推進しており、新薬メーカーが集積する欧州ではロンドンおよびミラノで、また、ジェネリックを中心として高い市場成長を示しているインドでGDP認証済みCFSを開設済みであり、世界最大のマーケットである米国においても、シカゴでGDP認証を取得したという。

さらに、欧米における更なる拠点の拡充に加え、医療サービスが充実しつつあるアジア各国においてもGDP認証取得を計画しているとのことだ。

また、同社は、医薬品をはじめとした各産業軸に対し、サプライチェーン全体の最適化を図るソリューションを提供するべく、2020年4月にデジタルプラットフォーム戦略室を新設。

医薬品産業に向けては、温度管理をはじめとした物流情報をEnd-to-Endにつなぐ、IoTデバイスとブロックチェーンを活用したデジタルプラットフォームを構築中であり、物流情報を活用して、商流におけるサービスの展開も計画しているとのことだ。

同社は、社会的使命である、物流を通して社会発展の原動力になること、物流を通じて新たな価値を作るため、グローバル医薬品サプライネットワークを医薬品業界の顧客へサービスを提供していくとしている。