新型コロナウイルスで世界中がパニックに陥る中、避けられない問題がデマ情報の拡散である。

特にSNSが発達している現在、日本国内でもトイレットペーパーが売り切れるなど、デマ情報の拡散により様々な問題が引き起こった。また、欧米では新型コロナウイルスは5Gが起因するウイルスだといったデマ情報が拡散され、混乱を引き起こしたという。

こうした状況を受け、米国現地時間3月16日、米国の大手テクノロジー企業のFacebook、Google、LinkedIn、Microsoft、Reddit、Twitter、およびYouTubeが共同声明を発表。

連携7社は、密に協力しウイルスに関する詐欺や誤情報と共闘すると声明し、各国の保健当局と連携し、新型コロナウイルスに関する重要なアップデートを共有していると表明した。

この声明が発表されてからおよそ1ヶ月半。7社は具体的にどのような対策を実施したのだろうか。その動向を探ってみたい。

(以下、記載の情報は全て5月4日現在のもの)

Facebook

Facebookは同社が提供する「Facebook」「Messenger」「Instagram」「WhatsApp」など全てのサービスにおいて、信頼できる情報に人々を繋げるよう、ポップアップなどを通して、地域の衛生機関のリンクをユーザーに共有。

facebook fake covid-19

さらにニュース業界へ対しても、1億ドルの投資とファクトチェッカーのサポートを実施し、フェイクニュースが出回ることがないよう支援した。

また、医療フェイスマスク、手の消毒剤、消毒ワイプやCOVID-19のテストキットなど、信憑性がない商品に土ての広告を禁止するなど、広告に関する対策も講じている。

Google

Googleはユーザーが信頼できるニュースに簡単にアクセスできるよう、Googleニュース内に専用ページCOVID-19エクスペリエンスを設置。Googleアシスタントやポッドキャスト、検索機能のアップデートを実施している。

加えてGoogle検索においてもSOSアラートで最新のニュースを表示。日本では、内閣官房新型インフルエンザ等対策室や厚生労働省、世界保健機関(WHO)が提供する信頼性の高い情報へのリンクを表示している。

さらにYouTubeと提携し、でもCOVID-19に関する情報を探しているユーザー向けに、信ぴょう性の高いリンクを表示。ユーザーを誘導するよう務めているほか、影響を受けている地域の政府やNGOを対象に、教育や情報発信に活用できるよう、広告収益の寄付を行うとしている。

またフィッシングやマルウェア、間違った情報などからユーザーを守るために、Trust and Safetyチームにより、24時間体制で監視を実施。Google広告では、新型コロナウイルスを利用しようとする広告をすべてブロックしており、過ブロックされた広告の数は数万に達しているとのことだ。

なおGoogle Playにおいても、開発者に対して「配慮が求められる事象」を利用するアプリを禁止しており、Googleのコンテンツポリシーでは、「医療や健康に関連する機能を備えたアプリのうち、誤解を招くものまたは有害な可能性のあるもの」を禁止している。

Microsoft

Microsoft はLinkedInにてメンバーに信頼できるニュースや事実を提供しているほか、Bingでは「COVID-19 トラッカー」を立ち上げ、世界各国の最新の感染統計情報が確認できるようにした。

さらに、Facebook、Google、Twitter などの他企業と協力し、すべてのプラットフォームで信頼できるコンテンツを上位表示するようにし、ウイルスに関する偽情報や誤った情報を撲滅しようと共同で取り組んでるとしている。

Twitter

Twitterは現地時間3月18日に利用ポリシーを更新。誰かがウイルスに感染したり感染したりする可能性を高めるコンテンツや、専門家の通説を否定するもの、さらに効果のない治療法、予防法、診断法を使用することを奨励するものや、専門家または当局からのものであると主張する誤解を招くコンテンツに関して、ユーザーに削除を求めるとした。

さらに現地時間4月23日にはさらに新型コロナウイルスに関するポリシーを拡大。削除対象として「食品が2ヶ月間届かなくなると州兵が発表したため、できるだけ早く食料品を購入しよう」といった買い占めを促すデマや、「5Gが新型コロナウイルスを引き起こすので電波塔を破壊しに行こう」などといった「人々に有害な行動を促し、パニック、社会不安、または大規模な混乱を引き起こす」未確認情報を含むツイートも削除対象になった。

なお同社によれば3月18日に更新されたポリシーを導入して以来、新型コロナウイルスに関して誤解を招く可能性があり、有害な可能性のあるコンテンツを含む2,230を超えるツイートを削除したとのこと。

引き続き人々に新型コロナウイルスに関する誤情報を含むツイートを削除するよう求めており、現在も自動化システムを使い、340万を超えるアカウントに異議を申し立てているとしている。

YouTube

YouTubeは、信頼できる最新情報に誘導するため。検索とおすすめに信頼できるソースを上位に表示する、情報パネルを表示する、また関連動画で WHO など各地域に関連するソースへのリンクを表示するなどの対応策を取っている。

さらに、治療を受けることを思いとどまらせる内容の動画や、有害物質が健康に効くと主張するような内容の動画など、ポリシーに違反する動画については、問題が報告され次第削除するとしている。

LinkedIn

linkedin covid-19

LinkedIn は3月上旬から、公式の信頼できる情報源からコロナウイルスに関するニュースと展望に関しての記事を毎週更新。これらの記事は全て65人以上のLinkedInエディターのチームによって作成されているという。

同社はホームページの右上に「特別レポート:コロナウイルス」ボックスを作成。ユーザーが新型コロナウイルスに関連する用語またはハッシュタグを検索すると、最初にこの記事が表示されるようにした。

また、パンデミックの深刻さを軽視する投稿や、ウイルスの起源についての根拠のない主張や、根拠のない治療法や治療法など、国際保健機関や公衆衛生機関からのガイダンスと矛盾する情報もプラットフォームで表示されない仕様に。

さらにコロナ禍の中で仕事を探している人々や、人材を探している企業に対して、求職のための適切な情報を提供する特設ページを開設した。

linkedin covid-19

Reddit

Redditは新型コロナウイルス専用のAMA(※)シリーズを開設。

医療専門家や、政治家など新型コロナウイルスとその影響について詳しい知識がある著名人のAMAが開催され、現地時間3月19日にはビルゲイツ氏がAMAを実施した。

なお、新型コロナウイルスとIT企業にまつわるこの取り組みは、現在では7社にとどまらず日本では楽天が加わるなど、世界各国のIT企業がこの取り組みに参画している。

covid-19 IT
参画企業一覧

各企業は誤情報と戦うため、様々な対策を講じてきた。今後もパンデミックが継続する限り、このような取り組みは拡大し、引き続き加速していくだろう。

(※)Ask Me Anything の略称であり、投稿者がユーザーの質問に答える機能。