通販サイトなどで商品を購入すると、商品と共にバーコード付き請求書が送られてくる。コンビニで振り込もうとカバンに請求書を入れておくものの、つい忘れてしまい、催促の連絡が入ることもあるのではないだろうか。

そんな面倒な支払いを24時間いつでもスマホで行えるのが、“LINE Pay 請求書支払い”や“PayPay 請求書払い”などの、「請求書払い」のサービスだ。まだ一般的には浸透がされきってはいないものの、実際利用してみると便利で、ポイントが多く得られるなど様々なメリットがある。

今回はそんな「請求書払い」サービスが利用者にどのような価値をもたらし、サービスごとでどのような特性があるのかを探っていく。

通販サイトや公共料金、税金まで支払える「請求書払い」

「LINE Pay 請求書支払い」や「PayPay 請求書払い」は、スマホのリーダーで請求書のバーコードを読み取り、支払いができる便利なサービス。通販サイトなどの請求書はもちろん、電気やガス、水道などの公共料金、住民税や固定資産税、軽自動車税などの税金の支払いにも利用できる。

2018年3月からいち早くサービスを開始した「LINE Pay 請求書支払い(※1)」は、以下の支払い先の請求書に対応。中でも「NP後払い」は約1万6,500社の企業が導入している決済サービスで、大手通販に限れば約70%のシェアを誇るだけに、利用できる請求書が一気に増えたイメージだ。

一方、「PayPay 請求書払い(※2)」は、2019年9月2日からサービスを提供開始。当初は東京ガス、東京電力、東京都水道局、広島ガス、中国電力、九州電力のみが対応だったものの、9月下旬に「Yahoo!マネー」で支払うことができる地方公共団体や事業者の公共料金や税金などの請求書にも対応したことで、支払い先を大きく広げた。

「LINE Pay 請求書支払い」と「PayPay 請求書払い」は何が違う?

スマホで手軽に支払いができる「LINE Pay 請求書支払い」と「PayPay 請求書払い」。対応する支払い先は異なるものの、一部、共通する支払い先もある。いったいどちらのサービスで支払うのが良いのだろうか?


海外からでも振り込みできる便利さ。

まずポイント等の付与だが、「PayPay 請求書払い」を利用すると、支払額の0.5%がPayPayボーナスとして付与される。ただし1回の支払いにおける付与上限は2,500円相当。その時期に行っているほかのキャンペーンなども合算して、最大1.5%付与もしくは1万5000円相当が1ヵ月の付与合計上限だ。

一方、「LINE Pay 請求書支払い」では、マイカラープログラムによって、0.5~2%のLINE Payボーナスが付与される。マイカラープログラムとは、毎月のLINE Payでの支払い実績によってバッジカラーが決まり、そのカラーによって付与率が変動する仕組みのこと。具体的には以下のような付与率になる。

●「LINE Pay」のマイカラープログラム
グリーン 付与率:2% 支払い金額:10万円以上/月
ブルー 付与率:1% 支払い金額:5万円~9万9,999円/月
レッド 付与率:0.8% 支払い金額:1万円~4万9,999円/月
ホワイト 付与率:0.5% 支払い金額:0円~9,999円/月

LINE Payのバッジカラーがホワイトなら「PayPay 請求書払い」で支払うのと同じ0.5%の付与だが、バッジカラーがレッド以上なら0.8%以上になるので、「LINE Pay 請求書支払い」で支払う方が得になる。ただし税金の支払いはボーナス付与の対象外になるので注意が必要だ。

ただ、税金の場合でもマイカラープログラムの支払い金額には加算されるので、「LINE Pay 請求書支払い」で税金を支払うことで、バッジカラーを上位のカラーにすることができる。税金の支払いであれば5万円以上になることも多いので、それでバッジカラーがブルーになれば、翌月の支払いが1%のボーナス付与となってお得。ただしそのようにしてバッジカラーを上位にしても、その支払額を持続できなければ翌月には元のホワイトに戻るので、まとめ買いをする時などに活用したい。

結論から言うと、普段からLINE Payをよく利用している人なら「LINE Pay 請求書支払い」の方が得になるが、あまり利用していない人なら、税金にもボーナスが付与される「PayPay 請求書払い」の方がお得。いずれも銀行口座からチャージした「LINE Pay残高」や「PayPay残高」で支払った場合に、ボーナスが付与される。

税金の支払いの場合はクレカ+「nanaco」もアリ

税金を支払う場合、クレジットカードでチャージした電子マネーの「nanaco」を使って、セブン-イレブンで支払う方法が裏技として知られている。税金は現金支払いのところがほとんどだが、セブン-イレブンでは「nanaco」で支払うことができる。ただし、通常200円に付き1ポイント貯まるnanacoポイントは、税金の支払いでは付かない。

ただ、「nanaco」をチャージする際にクレジットカードのポイントが貯まるので、その分で得できるというわけだ。とはいえ、どのクレジットカードでもいいわけではない。nanacoチャージでポイントが貯まるのは、「リクルートカード」、「ヤフーカード」、「セブンカード・プラス」など。

その中でも「リクルートカード」はポイント還元率が1.2%とお得だが、nanacoチャージでポイントが貯まるのは月3万円までに限定されている。一方、「ヤフーカード」と「セブンカード・プラス」はポイント還元率がnanacoチャージの場合、0.5%になる。いずれのクレジットカードも年会費は無料なので、「nanaco」の支払い用として利用するのも悪くない。

「nanaco」にチャージできる上限は5万円まで。それ以上の支払いの場合、複数のカードを利用する必要がある。「nanaco」カードの発行手数料は1枚300円。ただし、イトーヨーカドーのハッピーデー(8日、18日、28日)なら手数料が無料になる(1,000円以上のチャージが必要)。Androidケータイなら「nanacoモバイル」も利用できるので、組み合わせて使うのもいい。

ただ、やはりコンビニに支払いに行くのは面倒なので、筆者はバーコード付きの請求書が届いたら、「LINE Pay 請求書支払い」や「PayPay 請求書払い」を利用できないか、アプリを立ち上げて試している。そして両方とも利用できなければ、「リクルートカード」でチャージした「nanacoモバイル」を使って、セブン-イレブンに支払いに行く。

両社とも、利用できる支払い先は随時、増えているので、今後はセブン-イレブンに支払いに行くことも少なくなるだろう。

(※1)「LINE Pay 請求書支払い」対応の主な支払い先
東京電力、関西電力、東北電力、九州電力、中国電力、東京ガス、電算システム、SMBCファイナンス、三菱UFJファクター、地銀ネットワークサービス、アプラス、NTTデータ、GMO後払い、NP後払い ほか

(※2)「PayPay 請求書払い」対応の主な支払い先
東京電力、中国電力、九州電力、北海道ガス、東京ガス、広島ガス、さいたま市水道局、東京都水道局 ほか、206地方公共団体等の公共料金支払い

取材・文:綿谷禎子