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様々な大人の“はたらく”価値観に触れ、自分らしい仕事や働き方とは何か?のヒントを探る「はたらく大人図鑑」シリーズ。
今回は、華やかなモデルの世界から、子育てをきっかけに起業された二神恵理子さん。いつも明るく気さくな雰囲気の二神さんに、2人の男の子を育てながら仕事と人生を楽しむコツをお伺いしました。
大手事務所のモデルから結婚を機にアパレルPRの世界へ
——今どんなお仕事をされていますか?
二:子どものモデル・タレント事務所を運営しています。また、CMや広告などのキャスティング業務もやっています。
——以前はモデルとして活動されていたんですよね。
二:はい。短大を卒業した後にモデル事務所に所属し、活動していました。結婚を機に28歳でモデル事務所を辞めて、アパレル会社のPRとして働き始めました。
——きっかけはご結婚ですか?
二:そうですね。結婚もしたし、地に足つけてちゃんと働いてみようかな、と思ったのがきっかけです。そのタイミングでとある会社の方からPRのお仕事に誘われたので、ぜひにと思い、入社しました。
——モデルから会社員への転身だと、わからないことも多かったんではないでしょうか?
二:もう、右も左も全然わからないって感じでしたよ(笑)
電話の受け答えさえもできなくて、とにかく誰よりも早く出社して机を掃除するなど、私なりに頑張っていました。
ぽっと出で入社したので、周囲の方からは「ただのモデル上がりがPRの仕事できるの?」って思われていたと思います(笑)
——その環境の中でもあきらめずに頑張られたのはなぜですか?
二:1年くらいでようやく仕事に慣れてきて、PRって面白いなって思えるようになってきたんです。ファッションは好きだし、素敵な洋服を世の中に広めることが楽しくなってきて。
息子との時間を確保するため、子どもモデル事務所を起業
——その後、ご出産を機にお仕事を辞められるんですよね。
二:30歳で息子を出産したんです。ちょうどPRとして働いて2年くらい経った時で、これから仕事が面白くなるっていうタイミングでした。
なので、産後も保育園に入れて、すぐに職場復帰したんです。
——出産後もハードにお仕事をこなされていたんですか?
二:はい。せっかく覚えた仕事だったので悔しいっていう気持ちもあって。でも仕事漬けの毎日を過ごしていたら、あっという間に息子が3歳になっちゃって。
「あ、この勢いで行くとすぐに大人になっちゃうな。もっと息子と接したいな」って思って今後の仕事のやり方を見つめなおしたんですね。
——お子さんとのお時間を優先するために、一旦お仕事から離れられたんですね。
二:「これからでも息子との時間を取り戻すのに遅くないな」と、次の仕事も決めないまま会社を辞めたんです。
今まで走り続けてきたし、一旦休憩しよう!って結構勢いよく辞めましたね(笑)
——そこからなぜ起業されようと思ったんですか?
二:主人が広告関係の仕事をしているので、「何ができるかな?」と色々相談したんです。でもやっぱり自分や息子との時間を大切にするには自営で何か商売を始めるっていうのが得策だなということになって。
——そこで子どものモデル事務所というわけですね。
二:子どもは元々好きだったし、何よりモデルとしてのノウハウは、自分が経験してきたことだったからわかってるつもりでした。人脈もある程度確保できるし、良いんじゃないかなと。
——思い立ってからすぐ起業されたんですか?
二:いえいえ、思いついたとはいえ、なかなか重い腰は上がらず…。
でも、とある友達に「絶対やった方が良いよ!」って背中を押されて、「よし!やってみよう!」と心を決めて立ち上げました。それでも仕事を辞めて起業するまで2カ月くらいですかね。やろうと思ったら早いタイプだと思います。
——事務所はすぐ軌道に乗り始めましたか?
二:いえ、もちろんすぐに仕事なんていただけないので、まずはどんどん営業。モデル時代やアパレル時代の人脈を頼りにたくさん営業をかけて、ようやく軌道に乗り始めたっていう感じです。
——息子さんとの時間についてはいかがでしょう?
二:日々のスケジュールによって変動しますが、以前に比べると息子との時間は大幅に増えたなと感じています。その後、次男も産まれました。息子たちが大きくなるまでと考えると、一緒に過ごせる時間は長いようで短いので、これからも仕事と育児のバランスを取りながら、どちらも大切にして働いていきたいですね。
先入観無しに大人の話に耳を傾けて得られたもの
——学生時代、将来の仕事について考え出したのはいつ頃でしたか?
二:実はちゃんとした就職活動ってしたことがなくて…。正直、学生の頃は楽しいこと好きのノリの良い学生って感じでした(笑)
短大が演劇系だったので周囲も劇団に入っているなど、夢を追いかける系の子たちばっかりだったので焦ることもなかったんですよね。
——将来への不安はなかったんですか?
二:「何とかなる」って思ってました(笑)
でも人と会って話すのは好きだったので、チャンスがあれば積極的に出かけて人と話したり、どんな仕事してるのかとかインタビュアーのように聞いたりしていましたね。
——面白そうと思った人にはどんどん自分からぶつかっていくってことですね。
二:この人はどういう人生なのか、どういう仕事をしているのか、っていうのをすぐ自分に当てはめて想像するのが好きなんです。
「自分もやってみたいけどこの人は才能があるからできるんだな」とか、「この人の人生はハードすぎて自分には無理!」とか。
——色んな業種の方と話して得たものって何かありますか?
二:どんなに楽しそうな仕事をしている人でも、仕事の全部が楽しいなんてことはありえないんだ、ということ。
嫌なことも不安なことも絶対ある、だったら楽しいことが少しでも多い働き方が良いな、と漠然と考えてはいました。
——人と話すことで仕事に対する考え方を構築されていったんですね。
二:はい。目上の人や経験豊富な人と話していると、たくさん得られることがあったと思います。仕事って人生と同じなんだなーって(笑)
——というのは?
二:人生と同じで、仕事には良いことも悪いこともあるって。不満なことって探し出したらキリがないですよね?仕事も人生もそういうものだよなぁって思います。
——二神さんが、“はたらく”を楽しむために必要なことはなんだと思いますか?
二:心身の健康です!
すごく基本的なことだけど、旬のおいしいものやお野菜をしっかり摂る。夜眠って、朝の陽ざしを浴びて起きる。そういう日々の生活が一番大事だと思っています。
——簡単にできそうで実は難しいことだったりしますよね。
二:規則正しい生活を送って身体が元気であれば、マインドが勝手にポジティブになっていくと思うんですよ。
嫌だな、と思うことがあっても、食事と睡眠をしっかり取っていればきっと大丈夫、と信じています。
——二神さんにとって“はたらく”とはなんですか?
二:乗り越えて終わった時の解放感を得るもの、かな。
学校とかもそうだと思うんですけど、授業時間で拘束されてる分、休み時間に「イエーイ、楽しい!」ってなるじゃないですか?
その「イエーイ!」の部分を楽しむために自分に課された試練、みたいな感じかな。
——二神さんの「イエーイ!」の部分って何ですか?
二:私、編み物が趣味なんですけど、仕事してなかったらずーっと編み物してられると思うんです(笑)
でも、たぶんずっと編み物してるのって人生としては空しいものになるんじゃないかなって。
「この仕事が終わったら編み物できる!」って思えると編み物の時間がすごく楽しく感じられるんですよね。
——人生の時間を豊かにするもの、ということですね。
二:そうですね。限られた時間を楽しく過ごすために仕事も趣味もどちらも同じくらい大切だなって思います。旅行だっていつでも行けちゃったらつまらないと思いますよ。一生懸命働いて行くからこそ楽しい!
——“はたらく”を楽しもうとしている方へのメッセージをお願いします。
二:20代の私もそうだったけど、若い時って年上の人の話をバカにしがちな所、ありますよね。でも大人たちって自分には想像つかないくらい、たくさんの経験をしていると思うんです。
「どうせ話を聞いたってつまらない」なんて先入観を持たずに、どんどん大人の話を聞いて、人に好奇心を持って接していれば、人生のヒントをもらえると思います!
早速ちょっと気になる大人を誘って飲みに行ってみてください!
- 二神 恵理子さん(ふたがみ えりこ)
- リコロン代表
短大卒業後、大手モデル事務所に所属しモデル活動をスタート。結婚を機にアパレルPRへ転職。出産後、子どもモデル事務所「リコロン」を立ち上げる。
転載元:CAMP
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