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デロイトトーマツは、交通手段に関する利用者調査の結果を踏まえ「日本版MaaS」が目指すべき方向性を考察した調査レポートを発表した。
本レポートでは、日本のモビリティ課題を把握するために「中核都市部/地方都市部(※1)」と「世代」別に利用者調査を実施。
調査結果をふまえて地方・都心の各課題に対して次世代のモビリティサービスであるMaaS(Mobility as a Service)の在り方を考察している。
主なトピックスは3つ。
- モビリティの課題として、中核都市部では公共交通網の渋滞が、地方都市部では公共交通インフラの未整備が挙げられる。
- 自家用車への依存度は地方都市部で76.2%と依然として高く、MaaSサービスへの期待度は若年層ほど高い。
- モビリティサービスの普及には、地方都市部では個別のモビリティサービスをどうするかだけでなく、都市計画や交通計画自体の検討から始める必要があるのに対し、対して中核都市部では高付加価値化をテーマとしたモビリティサービスが必要となる。
日本におけるモビリティの課題
中核都市部では都心の「公共交通網の渋滞・混雑」や、郊外の「ラストワンマイル(最寄り駅から自宅までの交通手段)の不足・不便」が問題となっている。
一方、地方都市部では公共交通インフラが充分に整備されていないため、ほとんどの地域が自家用車に依存している状況だという。
MaaSに対する利用者ニーズ
- 地域別では自家用車への依存度は地方都市部がいまだに高い。
- 世代別ではMaaSサービスへの利用意欲は若年層ほど高い。
現状の公共交通機関について利用者が不便に思っている点に関して、上図の通り「自動車がないと生活できないため不便である」との回答が最も高く、特に地方都市部では76.2%と自家用車依存度の高い傾向が顕著だった。
上図を見ると、MaaSサービスへの利用意欲は世代間で差が生じていることがわかる。
理由として、日本市場ではまだ提供されていないサービスであるためイメージしづらいこと、移動情報や決済情報など個人情報の提供を要するサービスに対する抵抗感が影響していることが考えられると同社は述べている。
日本版MaaSの方向性
- 地方都市部
- 都心部
公共交通インフラに対する課題感が大きい地方では、欧州版MaaSのように利便性と収益性のバランスをとるためのMaaSが求められ、「効率化」をテーマにしたサービス構築が求められるという。
さらに個別のモビリティサービスをどうするかだけでなく、都市計画や交通計画自体をどうデザインするか検討することから始めることが必要だとしており、スマートシティといった次世代のまちづくりの在り方も含めた取り組みが効果的だと述べている。
若い世代を中心にマルチモーダルでのサブスクリプションのような新しいサービス・料金体系や、移動先でのアクティビティとの連動など、移動にプラスアルファする“高付加価値化”をテーマとした新しいサービスへの期待が高まっているという。
この傾向は今後も加速していくと予測され、都心部におけるMaaSは高付加価値化をテーマにした生活支援サービスのひとつとして推進することが有効とのことだ。
※1について
・中核都市部・・・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の人口20万人以上の自治体
・地方都市部・・・上記以外の県における人口20万人以上の自治体
※調査概要
調査期間:2019年4月12日~15日
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
調査対象:公共交通機関の利用者(5,000名)
<参照元>
「MaaSがもたらすモビリティ革命―日本版MaaSの可能性-」
デロイトトーマツ