Visaは2019年6月17日、AIを活用する「Visa Advanced Authorization(VAA)」による金融機関の詐欺被害の抑止効果が、年間で推定250億ドル以上に達し、加盟店や消費者のためのより安全なグローバル決済エコシステムの実現を可能にしているという解析結果を発表した。

「VAA」概要

VAAはVisaのグローバル決済ネットワーク VisaNetにおける取引承認をリアルタイムに監視、評価する包括的なリスク管理ツールである。金融機関は新種の不正パターンや傾向を迅速に特定し、対策を行うことができる。

2018年VisaNetで処理された加盟店と金融機関の間の取引件数は1270億件に達しているという。金融機関が不正な取引を迅速に特定、防止しながら、正当な利用を承認できるよう、全取引をAIにより1件あたり1ミリ秒の速さで、すべてのVisaNet取引を解析した。

Visa Advanced Authorizationを通して、加盟店や金融機関が得られる利点は以下のとおり。

  • 機械学習モデルにより、行動、パターン、500種類以上のリスク属性などの不正利用の指標をリアルタイムに各取引につき約1ミリ秒で評価。
  • リスクスコアをカード発行会社と共有することで、取引の承認、拒否を判断することに加え、カード会員への対応のため取引にフラグを立てることができる。
  • 新規の顧客や利用頻度の低い顧客であっても正当な取引であることを特定し、取引が誤って拒否されてしまう可能性を低減させる。
  • 不正を検知、防止するための統合されたグローバル予測解析により、リアルタイムの承認を実現する。