2019年6月19日、リクルートキャリアは中途採用を実施する企業の人事担当者を対象として、「社員の学び支援と中途採用状況」に関するアンケート調査を公開した。

なお本調査において、学ぶ対象に関しては「直近(6ヶ月程度)の職務上必要とされるものではない新たな知識・スキル」と定義している。

調査結果から社員に対する学習支援有無で中途採用の充足状況に差があることや、求職者が求める支援内容と企業が実施する支援内容にかい離がみえることなどがわかったという。

主なトピックは、以下の5つ。

  • 社員個人の学びが自社のプラスになると考える企業は全体の9割
  • 社員個人の学びを支援する企業は全体の8割
  • 中途内定者の充足状況。社員の学びを支援する企業はしない企業より14.4ポイント高い
  • 求職者が求める学びの支援と企業が実施する支援には乖離がみられる
  • 求職者が最も求める学びの支援(「学習機会の提供」)の実施企業は全体の半数以下

社員個人の学びが自社のプラスになると考える企業は全体の9割

自社社員が「直近(6ヶ月程度)の職務上必要とされるものではない新たな知識・スキル」を学ぶことが自社にとってプラスだと考える企業は、全体の93.3%に及んだ。

さらにその理由を聞いたところ、「広い知見・視野を持つ社員の増加(75.7%)」との回答が最も多く、「新たな発想への期待(62.0%)」が続いた。この結果について同社では、「自社の未来に向けた期待が多い結果となった」と分析している。

また社員自らが学びたいことを学ぶことに、「社員自身のモチベーション維持・向上(51.3%)」を期待するという声も半数以上にのぼっていた。

社員個人の学びを支援する企業は全体の8割

社員個人の学びを自社のプラスになると企業がほとんどであるなか、この調査では実際の支援状況がどうなっているかも調べている。その結果、なにかしらの支援を実施している企業は84.2%となり、多くの企業が支援を行っているのに対し、支援を実施していない企業も15.8%に及んだ。

具体的な実施内容は「職場の理解促進(50.7%)」「学習費用の支援(46.3%)」が多く、学び支援を目的とした「副業の容認」に関しては12.5%にとどまった。

中途内定者の充足状況。社員の学びを支援する企業はしない企業より14.4ポイント高い

2018年度下半期の中途内定者数の充足状況と支援の実施状況を比べたところ、なにかしらの支援を実施している企業における中途内定者の充足状況が60.2%だったのに対し、行っていない企業は45.8%だった。

支援の実施有無により、充足状況に14.4ポイントという大きな差がつく結果となっている。同社ではこの結果にもとづき、求職者が転職先に魅力を感じる要素は多岐にわたるものの、社員の学び支援という人事施策が、採用力向上にもつながる可能性がみてとれると分析している。

求職者が求める学びの支援と企業が実施する支援には乖離がみられる

転職先が確定した求職者が就業先に望む支援と、企業が行っている支援の内容を比較した。その結果、求職者が「学習機会の提供(58.0%)」を最も望んでいるのに対し、実際に企業で行われている支援は「職場の理解促進(50.7%)」だった。

このように求職者個人と企業間でギャップがみられる。くわえて「学習機会の提供」について求職者の58.0%が望んでいるのに対し、実施企業は37.6%と、両者には20.4%ものかい離があった。

求職者が最も求める学びの支援(「学習機会の提供」)の実施企業は全体の半数以下

求職者が最も望んでいる「学習機会の提供」に関し属性ごとに実施率をみると、業界別では「金融・商社(49.4%)」が最も割合が高かった。また従業員別では300人以上の企業の実施率が4割以上と比較的高かった。

しかしながら、どの属性でみても実施率は半数以下となっている。たとえば従業員規模が5,000人以上の企業に関しても、実施率は43.8%となっており、300~999人の企業の実施率(41.0%)と比較して2.8%ほどの差しかない。

同社ではこの結果から、現時点では社員の学びに対する支援が開発の余地がある領域となっており、取組みの有無によって今後の人材獲得競争における採用力の差となると考えられる、としている。


※調査概要
実施期間|2019年3月19日(火)~2019年3月25日(月)
調査対象|中途採⽤実施企業の人事担当者
回答数 |830人
調査方式|インターネット調査(調査協⼒:株式会社マクロミル)

<出典元>
「中途採用の充足、 社員の学習支援有無で14.4ポイント差 企業と求職者の、支援内容に対する考えの違いとは?」
Recruit Career