富士通は2018年12月26日、NTTドコモの個人情報などのデータを取り扱う業務のPCログインシステムにおいて、手のひら静脈認証装置「FUJITSU 生体認証 PalmSecure-F Light(パームセキュア エフライト)」を提供したと発表した。
なお、NTTドコモは同製品を2018年10月より順次導入し、本格稼働を開始している。
指紋認証していたドコモが手のひら静脈認証を採用
NTTドコモは従来、業務システムへのPCのログイン時にICカードおよび指紋認証による本人認証を行っていたが、個人情報など重要なデータを取り扱う部門において、よりセキュリティの高い認証方式として、新たに富士通の手のひら静脈認証センサー「PalmSecure-F Light」を選定し、運用を開始した。
富士通によると、「PalmSecure-F Light」は、静脈認証センサーとしては業界トップクラスの小型サイズの外付け認証装置だという。本人拒否率0.01%(リトライ1回)、他人受入率0.00001%以下という高い認証精度と合わせて、省スペースながら高信頼のセキュリティを実現する。
また、この製品を運用する認証システムである「FUJITSU Security Solution 手のひら静脈認証PCログオンソフトウェア PalmSecure LOGONDIRECTOR(パームセキュアログオンディレクター)」により、既存のActiveDirectoryサーバや業務アプリケーションサーバとは独立した認証サーバを導入することで、既存のシステムに大きな影響を与えることなく、短期間でのシステム構築が可能になるという
指紋や顔などの体表情報に比べて偽造が困難な手のひら静脈認証技術
手のひら静脈認証技術は、業務システムのセキュリティ強化だけでなく、ATMや入退室管理システムなど、個人認証が重要とされるさまざまな場面で活用されているという。
また、累計出荷台数は110万台を超え、世界約60カ国、8,200万人以上の利用実績があり、現在も導入は拡大しているという。さらに、手のひら静脈データを統合管理・運用することで、認証印刷システムや勤怠管理システムなどと連携し、さまざまな業務において手のひら静脈認証を利用することが可能となるとしている。
富士通の手のひら静脈認証技術のメリットは以下のとおりである。
- 生体認証の中でも高い安全性を実現
- 非接触で快適に認証でき、ほとんどの人が登録可能
手のひら静脈は体内情報であるため、指紋や顔などの体表情報に比べて偽造が困難だ。指や手の甲の静脈に比べて血管の本数が多く複雑であり、また、太い幹線の血管を認証に用いるため、指の静脈に比べて寒さの影響を受けにくく、安定した認証が行えるという。
手のひら静脈認証は、センサーに触れることなく認証できるため、衛生的であるとともに、指紋のように表面の摩耗や乾燥などにより、登録・照合を行えないということがないという。
富士通グループでは、全世界で従業員75,000人、15万手の静脈データサンプルを収集し、認証精度と適用率の確認を行った。これらのサンプルで適用できなかったケースはなく、適用率の高さが実証されているという。
img:日経電子版