千葉大学予防医学センターは2018年12月14日、イオンモール、竹中工務店と協働し、疾病につながる社会経済的、環境的、行動的要因を予防することであるゼロ次予防の視点を活かした「『健康への気づき』を促す空間デザイン・プログラム」をイオンモール宮崎に実現し、その効果検証を実施したと発表した。
この実験は、日常生活のなかで『健康への気づき』を得ることにより、健康維持・増進のための行動を促すことが目的で、実施プログラムの効果検証を蓄積し、健康長寿社会の実現を目指す。
『健康への気づき』が得られるさまざまな工夫
実証実験では、利用を通して『健康への気づき』が得られる以下のようなさまざまな工夫を施したという。
- ステップウォーキング―歩幅をチェックするプログラム
床面に描かれた年代別、身長別の歩幅ラインと、利用者自身の歩幅を比べることにより、楽しみながら、『健康への気づき』を得られる。
- クライムウォーキング―記憶や想像力にはたらきかけるプログラム
身体活動の増加に寄与する屋内階段の利用を促すため、階段を上りたくなる工夫として、効果音や童謡から記憶を呼び起こすプログラムを盛り込んでいる。
- バランスウォーキング―歩く速度や姿勢をチェックするプログラム
歩行年齢測定プログラムを体験することで、自分の歩行年齢がわかります。速度、姿勢、バランスなど、自分の歩行状態を知ることで、『健康への気づき』につなげるという。
3つのプログラムが自身の体や健康に意識を向けるきっかけに
また、アンケート調査を2018年5月と9月に計5日間実施し、効果検証した。その結果、以下のことがわかったという
- 3つのプログラムが健康関心層・無関心層ともに自身の体や健康に意識を向けるきっかけになっていること
- 3つのプログラムがイオンモール宮崎に来訪する目的のひとつになっていること
まず、プログラムが体や健康に意識を向けるきっかけになったか?との問いには、アンケート回答者の91%(5月)、94%(9月)が「プログラムを通じて、自分の体や健康について意識を向けるきっかけになった」と答えた。
また、健康無関心層の70%(5月)、83%(9月)が「プログラムを通じて、自分の体や健康について意識を向けるきっかけになった」と答えており、プログラムが健康関心層だけでなく、無関心層にもよい影響を与えていることがわかったという。
プログラムが来訪する目的になっているか?との問いには、アンケート回答者の42%(5月)、35%(9月)が「来訪目的のひとつとなっている」と答えていたという。
健康に非常に関心がある人の56%(5月)、49%(9月)が「来訪目的のひとつになっている」と答えていた。
そして、クライムのアンケート回答者の42%(5月)、63%(9月)が「来訪目的のひとつになっている」と答えていた。
最後に、複数回のプログラム利用者は増えたか?との問いには、「利用回数が2回以上」と回答した人は14%(5月)から22%(9月)に増えた。
クライムの「10回目以上の利用」は、15%(5月)から50%(9月)に増えた。
バランスの「2回以上の利用」は、10%(5月)から17%(9月)に増えたという。
そして、同社では、効果検証から得られた改善点は以下となる。
- 主に利用する年代を考慮したプログラムの配置や計画を行うことにより、さらなる利用促進が可能になること
- プログラムが「自分の体や健康に意識を向けるきっかけにならなかった」と答えた人の60%が「プログラムがよくわからなかった」こと
これらを理由にあげているため、プログラムの利用方法の掲示や結果のフィードバック方法に改善の余地があると考えられること、を挙げている。
img:PR TIMES