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以前は最も使われる情報取得手段といえばテレビや新聞であったが、インターネットの普及でその構図が変わりつつある。スマートフォンなどで情報の収集を毎日している代わりにテレビや新聞はあまりチェックしないという人は、筆者の周りにもちらほらいる。
実際、ソーシャルメディアをはじめとしたデジタルメディアは、実際に重要な情報収集手段として認知されている。ただ、その活用については世代間で隔たりもあるようだ。
この記事では、デロイトトーマツコンサルティング合同会社により9月26日に発表された、「デジタルメディア利用実態調査」日本版の結果を紹介する。
Z世代がニュース情報を得る手段としてソーシャルメディアが主流になりつつある
若い世代を中心として、Twitter・Facebookなどのソーシャルメディアが流行しているのは周知のとおりだろう。
今回の調査では、ニュース情報を得る手段として最も頻繁に利用するのか何か聞いたところ、Z世代(14~20歳)・ミレニアル世代(21~34歳)のうちでも若い年齢(21~27歳)においてテレビの利用率が減少している一方で、ソーシャルメディアの利用率が増加している傾向がみて取れた。
特にZ世代では、テレビの利用率(30%)とソーシャルメディアの利用率(28%)がほぼ同等となり、主流になりつつある。
若い世代を中心としてデジタルメディアの利用率は、今後も増加し続けることだろう。テレビ側に大きな変化がみられなければ、デジタルメディアの利用率に追い抜かれる日もそう遠くはないだろう。
なお35歳以降の世代では、ニュースを得るのに使う最も頻繁な手段として、テレビをあげる人が5割以上という結果だった。
Z世・ミレニアル世代の約6割がソーシャルメディアの信頼性を担保するための情報を重視
ソーシャルメディアをはじめとしたデジタルメディアは、匿名性が強く情報の信頼性が問題になることが多い。そこでソーシャルメディア上のニュースの信頼性について聞いたところ、Z世代・ミレニアル世代の約6割が懸念をいだいており、その正しさを裏付ける別の情報源の存在を重視していることがわかった。
実際、ソーシャルメディアでは虚偽の情報が出回ることも多いため、若い世代の多くが情報を疑う姿勢をもつのは当然であり、むしろ健全な姿勢といえるだろう。
ただこの結果の裏を返せば、これらの世代の残りの約4割は、ソーシャルメディア上の情報の信頼性に疑問を感じていないようにもみえる。このことの方が心配ではある。
恣意的にソーシャルメディアに偽の情報を流そうとする悪意ある第三者にとっては、ほくそ笑むような結果といえるだろう。
5人に1人がソーシャルメディアを通じ企業とやり取りしたことがある
ソーシャルメディアを通じて企業と接触したことのある人は、全体の約2割(5人に1人)にも及んだ。
特にZ世代・ミレニアル世代での利用率が高く、かつ企業がソーシャルメディアを活用することでブランド認知やイメージ向上につながっていることもわかった。
こういった結果からも、企業がソーシャルメディアを重視する傾向は今後も強くなると予想される。
10人に1人が音声アシスタントを毎日利用し、用途は世代によって異なる
音声アシスタント機能の利用について聞いたところ、全体の1割が毎日利用していると回答した。特に10代の利用率が高く、その利用経験率はほぼ半数に及ぶ。
また利用用途に関しては、Z世代では動画・音楽の再生での活用が多かったのに対し、50代以上では「メッセージ・電子メールを読む/送信する」といったニーズが高いことがわかったとのこと。
オンラインの動画・音楽サービスは若い世代を中心に浸透していて、50代以上は若い世代ほどスマートフォンの操作でメッセージなどを入力するのに慣れていない、ということだろうか。いずれにしろ、世代間のデジタルメディア利用の特徴の違いを反映しているようで興味深い。
AR/VRの機器保有率は3%にとどまるが、幅広い分野で使用頻度が増える
VRヘッドセットの保有率は前年と同じく3%にとどまった。その一方で、「映画やテレビ番組の視聴」、「教育」といった幅広い用途において使用頻度が増えていることも今回の調査で判明した。
用途別にみると、Z世代・ミレニアル世代ではゲームでの利用において関心が高い一方で、映画・テレビの視聴、情報の取得に関しては、幅広い世代で興味が示された。
AR/VRの一般への普及は、機器の保有率からみてもまだまだ広がっていないようにみえるが、コンテンツが充実していくことによって普及が加速していきそうな予感を抱かせる結果だ。
若い世代を中心にデジタルメディアが最も重要なメディアへ
今回の調査では、若い世代を中心としてデジタルメディアの重要度が高まっている傾向がみて取れた。
これから、彼らが社会の中心になっていくことで、テレビやラジオ、新聞といったこれまでの主要メディアを追い抜き、デジタルメディアが情報取得の主役へ躍り出る日もそう遠くないかもしれない。
img:PR TIMES