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インバウンドの増加とともに、彼らが日本国内で体調を崩した場合にどう対処するかが問題になっている。そこには、言葉の壁や医療機関へのアクセスの問題、対応医師の不足など、大きなハードルが立ちはだかっている。
医療のボーダレス化を目指す「UrDoc(ユアドク)」は、日本初となる多言語医療相談アプリのβ版を一般公開するとともに、オンラインによる医療相談サービスを提供開始した。まずは日本において、在留外国人・訪日外国人を主な対象としてサービスの拡充を行い、早期に海外展開を図っていくという。
医療のボーダレス化を実現するアプリ
事業代表者の唐橋一孝氏は、現役の医師として長く外国人診療に従事しており、臨床現場で冒頭で述べたような課題を強く感じてきたという。
「UrDoc」はこうした課題を乗り越えるプラットフォームとして構想された。言語や人種、国境をこえて医療のボーダレス化を実現するという理念のもと、世界中の医療者および医療を必要とする人をつなぐ。今回の多言語医療相談サービスは、その第一弾として発表したものだ。
サービスの特徴は以下の通り。
- 事前予約不要でリアルタイム相談
アプリを開き、オンラインの医師から相談したい医師を選ぶだけ。スマホの向こうで医師がリアルタイムに対応する。相談形式は動画のほか、テキストや音声も選ぶことができる。 - スタート時の医師は6言語30人
すでに英語、中国語、韓国語、マレー語、ドイツ語など各言語に精通した医師30人が参加しているという。2019年には100人、2020年には300人の医師の参加を予定している。 - マップ機能と問診票で受診もサポート
アプリの無料機能として、最寄りの外国人受け入れ可能な医療機関、および最寄りの薬局を地図で自動表示。医療機関や薬局の窓口では、ユアドクの医師が発行する日本語問診票も役立つ。 - 使った分だけカードで支払い
相談料は各医師が設定した1分あたりの価格をもとに、相談時間に応じて決まる。主要なクレジットカード、デビットカードでの支払いに対応。カード番号はカメラ入力も可能だ。
また、医療面では、相談を担うメンバーはユアドクの審査を経た現役の医師のみに限定。また法律面では4名の弁護士チームによる顧問体制を敷くとともに、医師法、医療法などの法律および厚生労働省が策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って参加医師のための行動規範を定めている。
医療情報の扱いにおいても、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)、および厚生労働省・経済産業省・総務省が定める3省4ガイドラインを遵守する。
さらに、ユアドクと提携する宿泊施設、旅行代理店、その他法人でも使用可能だ。
続々と登場する遠隔医療サービス
「UrDoc」に類似するサービスとしては、遠隔医療サービスである「LEBER(リーバー)」だ。これは、24時間365日スマホで医師と相談できるドクターシェアリングアプリである。
具体的なシステムとしては、まず、チャットボットによって患者の身体の状態を、チャット形式で丁寧にヒアリングする。そして、サービスに登録された全国の医師が、その情報にあわせて適切なアドバイスを行ってくれるというもの。
さらに必要に応じて、症状にあわせた医療機関や市販薬の紹介も実施する。医療機関やドラックストアについてはマップ表示も可能だ。
相談料金は、このアプリでは自分の症状によって100円・300円・500円のいずれかを選択する仕組みとなっている。
また、株式会社Kids Publicが提供する「小児科オンライン」もその一つだ。これは、子育て中の母親向けの遠隔医療相談サービスで、現役小児科医がビデオ通話ソフト「Skype」・コミュニケーションアプリ「LINE」を通して相談を受け付ける。このサービスは、都市・地方・海外在住の日本人問わず、多くの母親によって利用されている。
また、AIによる医療系製品開発を専門とする株式会社NAMが提供するチャットボット型電子カルテ「ドクターQ」もある。これは、医師が患者の経過を把握するための医療機関向けのサービスだ。
グローバル化に伴い大きくのしかかる海外滞在時の医療問題
訪日外国人の医療問題は、言語の壁などによりアクセスしづらい状況となっている。これは世界各国を訪れるであろう、私たち日本人にも同じことがいえるはずだ。
今後、今まで以上にグローバル化の速度は速まり、海外滞在時の医療問題はますます大きな問題となってくるだろう。
「UrDoc」は、早期に海外展開を図っていくという。その成果が世界に広まっていくことで、安心して海外旅行へいくことの一助となることだろう。
img:PR TIMES