Eコマースの普及により、Webであらゆる商品を注文できるようになり利便性の高い世の中になった。しかし未だに実店舗で行う販売については、時間や商品在庫などにおいてユーザーと事業者の機会損失は多くあり、円滑な物流網の確保など、小売業においての課題はまだまだ残されている。

そんな背景の中、中国インターネット通販大手の京東(ジンドン)傘下、生鮮食品や日用品の配達事業などを手掛ける物流配送会社「達達(ダダ)—京東到家(ジンドンダオジャー)」は2018年8月9日、米小売大手ウォルマートなどから5億米ドルを調達したと発表した。

中国ウォルマートが活用する配送サービスの利便性

ウォルマートは京東が提唱する、オンラインとオフライン(実店舗)、物流機能まで融合させたビジネスの総称である“※ボーダーレスリテール”の理念に賛同し、2016年6月に「達達-京東到家」と戦略的パートナーシップを締結している。中国にある約200社のウォルマートの実店舗は「達達-京東到家」の配送サービスを利用しており、中国の30都市で1時間以内の商品配達が可能である。

※ボーダーレスリテールとは
オンラインとオフライン(実店舗)、そして物流機能までを融合させる京東が提唱するビジネスの総称。ユーザーに対して「いつでも・どこでも」オン・オフライン関係なく快適に消費できる環境を提供するもの

さらに2018年7月には、京東集団とウォルマートはパートナーシップの強化を共同発表し、双方のユーザー・在庫情報・店舗情報を共通化してオンラインとオフラインの融合を加速させることを目指している。また2018年8月には、オンラインとオフラインを連動させた2018年大型ショッピングフェスティバル「88セール」を共同で開催する予定である。

今回の発表を受けて、京東集団主席戦略官(CSO)の廖建文氏はこうコメントしている。

「京東は現在、ウォルマートを含む全世界の小売りパートナーと提携し、「ボーダーレスリテール」連合を推進しています。全ての消費者とブランド企業に対し、肩を並べてサービスを提供します。

千変万化の消費需要を満足させ、生活の中にリテールを溶け込ませ、リテール業のコスト、効率と体験の全面的な変革を行っていきます。

今回の「達達-京東到家」への投資は、たゆまないイノベーションとかゆいところに手が届く運営を進めていくためです。連合のパートナーたちと手を取り合い、消費者のより良い生活のクオリティを実現していきます。」

一方ウォルマートの中国総裁兼主席執行官は陳文淵氏はこう述べている。

「我々と優秀なパートナーとの緊密な提携は、店舗のデジタル化・技術応用を加速化させ、顧客のためにより簡単でより便利なショッピング体験を創り出していきます。

「達達-京東到家」の提携で、今後はより良いO2O体験をもたらすでしょう。」

より精度の高いO2O体験を

このように市場では店舗のデジタル化・技術応用を加速させ、ユーザーにとってより簡単で便利なショッピング体験が創出されている。

インフラが発達するにつれ、ユーザーが店舗に直接行かなくても受け取れるサービスが日常化するのも時間の問題だろう。

img:PR TIMES