ナイトタイムエコノミーとは、文字どおり夜間(日没から翌朝まで)に行われる経済活動のことだ。ナイトクラブや居酒屋のような夜のイメージが強い施設だけでなく、病院での夜間診療や公共交通機関の営業などもナイトタイムエコノミーに含まれる。

近年、訪日する外国人が増えているが彼らが述べる不満の1つとして、夜にお店が営業していなかったり鉄道が運行していなかったりして夜の観光が楽しめないという点がある。

そんな彼らの声に答えるべく、近年ではナイトタイムエコノミーに注目が集まっている。国としても、ナイトタイムエコノミーを推進することで経済成長も見込めるとして対策には積極的だ。一方で、この動きに関し一般市民はどう感じているのだろうか。

4割が夜間にプライベートで週1回以上外出し、夜間に使うお金は平均14,519円


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インターネットを使ったマーケティングリサーチで有名なマクロミルでは、ナイトタイムエコノミーに対する一般市民の反応について調査すべく、2018年4月、多くの繁華街がある東京23区に住む20~59歳の男女1,000名にアンケートを実施した。

まず自身の夜間での消費活動について聞いたところ、41%が1週間に1回以上プライベートで夜間に外出していると答えた。「月に数回」(25%)、「2~3ヵ月に1回以下」(34%)がそれに続いた。さらに、夜間で使うお金がどのくらいか聞いたところ、平均は14,519円だった。多くの一般市民が比較的頻繁に夜間の消費活動を行い、一定額以上のお金の消費をしていることがわかる。

3割の人が3ヵ月以内に店舗・施設が夜間営業しておらず困った経験あり


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次に、ナイトタイムエコノミーにおいて一般市民が不便に感じたことがあるかを聞いた。結果、3ヵ月以内に店舗・施設が夜間に閉まっていて「困ったことがある」と回答した人は全体の28%に上った。約3割もの人が夜間の営業状況に不足を感じているようだ。

ちなみに、具体的にどんな店舗やサービスで不便に感じたのか聞いたところ、1位が「飲食店」(54.3%)、2位「ショッピング施設」(35.1%)、3位「交通系サービス」(28.3%)、僅差で「医療・美容施設」(27.9%)と続いた。

夜間営業してほしい店舗・施設の1位は「病院」、2位「鉄道」、3位「調剤薬局」と続く


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一般市民のニーズを知るため、夜間営業を望む店舗や施設は何かについても聞いたところ、最も多かった回答が「病院」(67%)だった。そして「鉄道」(61%)・「調剤薬局」(47%)・「スーパー」(47%)・「バス」(41%)だった。

前述の「3ヵ月以内に夜間営業しておらず困った経験がある店舗・施設」としては飲食店やショッピング施設という回答が多かったものの、実際に夜間営業を希望する店舗・施設は全く別の回答だった。病院や鉄道、調剤薬局のように、夜間に利用することは少ないにしろ万が一のときのために夜間営業を希望するということだろう。

夜通し営業する店舗・施設が東京23区内で増加することの賛否は「どちらともいえない」が最も多い


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ナイトタイムエコノミーを活性化することで大きな経済効果が見込まれる旨の簡単な説明文を読んでもらった上で、「東京23区内に夜通しの店舗やサービス・インフラが増えることに賛成か、反対か」との質問をした。結果、「賛成」(26%)「反対」(27%)とほぼ同数だったのに対し、最も多かったのは「どちらともいえない」(47%)との回答だった。

自身が夜間消費する際の利便性や経済効果から、ナイトタイムエコノミーに一定の理解を示しつつも、騒音や迷惑行為が増えないかなど不安もあり、一概に賛成できない人が多いことがわかる。

最短30分でかけつける?夜間の急な往診に対応するサービスも登場

今回の調査結果からもわかるように、病院での夜間診療の充実を希望する人は多いようだ。そんな中、首都圏を中心として往診型の夜間緊急を行う「ファストドクター」というサービスが登場している。

ファストドクターは、救急外来と変わらぬ品質の検査・処方を自宅で受けられる日本で初めてのサービスだ。夜間に急に具合が悪くなっても、電話もしくはメールで医師が駆けつけてくれる。ファストドクターでは約60名の医師が、東京23区・埼玉・千葉の患者に対する診療を24時間365日実施している。

深夜などに体調が悪くなっても、救急車を呼ぶのは気が引けるし、かといって適切な救急外来が近くにない、ということもあるだろう。そんなときに、こんな医療サービスがあることが分かっていれば、利用者としては大いに助かる。

一般市民の理解を得ながら、東京のナイトタイムエコノミー対策をすすめることが必要

今回の調査では、一般市民の多くがナイトタイムエコノミーの活性化による利便性向上や経済効果に理解を示したりしつつも、いざ自分の住む地域に夜間営業の店舗・施設が増えるとなると不安を感じるということがわかった。

ナイトタイムエコノミーの推進は、私たちの生活を豊かにする有効な手段であることは間違いないだろうが、一方で十分に一般市民の理解を得ながら進める必要があるだろう。

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<参照元>
ナイトタイムエコノミーに関する調査 ~夜間の経済活動の実態や意識を、東京23区在住の1,000人にききました~
市場調査メディア ホノテ by Macromill