訪日外国人旅行客は年々増加しており、その経済的効果は計り知れない。そして彼らの対応で必要になってくるのが多言語の対応だ。

有名なチェーン店などはもとより、小さな店舗・施設などでも、インバウンドの満足度を上げるためにはさまざまな言語に対応する必要がある。

かといって、個人で複数の言語を習得しサービスに活用するのは限界があるだろう。では、多言語対応を支援するサービスには、どのようなものがあるだろうか。

インバウンドの多くがショッピングの際の言語問題に不満や心配を感じている

訪日外国人客は2017年に2,869万人となった。政府主導の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では、2020年に4,000万人、2030年には6,000万人との目標が設定されている。

その上で、国土交通省観光庁の「訪⽇外国⼈の消費動向平成29年間値(速報)」によると、インバウンドによる購買金額は旅行消費額の約37.1%に及ぶなど、インバウンドが増えることにより、買い物の消費額が大幅に増えることも期待されている。

その一方で、インバウンドの多くが日本でのショッピングにおいて、商品説明や価格表示などに関する言語の問題に不安・不満を感じているという。彼らの日本での買い物での満足度を上げ、さらに消費を活性化させるためには、言語問題の解決が不可欠だろう。

多言語表示サービス「QR Translator」が多言語商品情報プロジェクトと組み、訪日外国人の買い物を支援

株式会社PIJINは、自社の多言語表示サービス「QR Translator」と多言語商品情報プロジェクトを連携させ、インバウンドの買い物支援を開始する。そして、この施策を2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおける、オールジャパンでの多言語化の取り組みの一環としたい考えだ。

QR Translatorでは、QRコードを利用して多言語表示サービスを提供。具体的には、ユーザーが専用のQRコードを手元のスマートフォンなどで読み込むことによって、その端末の言語設定を認識。対象となる商品などの翻訳文を自動的に表示する。ユーザーはQRコードを読み込むだけでサービスを利用でき、専用のアプリをインストールするなどの作業は不要だ。

一方の多言語情報プロジェクトでは、商品のJANコード(バーコード)を読み込むことによって、メーカー公式による商品情報を参照できるアプリ「Mulpi」を開発。そして今回の連携では、このアプリがもつ約12万アイテム分のデータベースを、QR Translatorのコードと連携させるという。

QR Translator・多言語情報プロジェクト連携での利用に限って、QR Translatorでは利用料を無料とするとのこと。この連携により発行したQRTコード(2次元コード)は、プライスカードやショップカードに無料で掲載して利用できる。

QR Translatorを利用すれば、インバウンドの買い物での満足度を向上させられる上に、対応がスムーズとなりショップ店員の負担も軽減することができるだろう。大小問わず、さまざまな施設・店舗で、インバウンド対応の強い味方となるのは間違いない。

より詳細な商品情報に対応したQR Translatorオリジナルの有料モデルも提供

QR Translatorでは、より詳細な商品情報の翻訳に対応した有料モデルも用意している。この有料モデルでは、適切な翻訳文を表示させることはもちろんのこと、商品情報表示におけるデザインやレイアウトを自由に設定することが可能。さらにSNS連携・モバイルサイト構成での複数アイテムの情報展開など、便利な機能を搭載している。なお複数の商品で利用する際、テンプレート展開でのコストダウンにも対応しているとのこと。インバウンドによる自店での消費をさらに伸ばすためにも、この有料モデルを検討するのもよいだろう。

AIを用いた多言語対応のスマート観光マップも登場

増加するインバウンドに対する、多言語対応の取組みは他にも登場している。その1つが、スマートフォン・タブレット・PCなどで使えるAIを用いた次世代の多言語対応観光マップ「chizco(チズコ)」だ。

chizcoでは、本サービスを導入した拠点を中心とした周辺の観光情報・観光マップを端末に表示。この観光情報は、カテゴリによる並び替えなどができるのに加え、AIによる高精度の自動翻訳にも対応している。なお現在の対応言語は、英語・中国語・韓国語の3つだが、順次拡大する予定だ。

インバウンドの増加でさまざまなシーンで多言語対応が必要に

年々増え続けるインバウンドに対応するためには、多言語対応は必須といえる。かといって、スタッフや従業員に言語の習得を強いるのは現実的ではない。そこで今回紹介したQR Translatorやchizcoのようなサービスを活用するのもよいだろう。

観光施設や店舗をはじめとして、さまざまなシーンでインバウンドの対応が必要になると想定される。そんなときに多言語対応の強い助けとなるサービスが、今後も充実していくことを期待したい。

img:Value Press