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画像解析や顔認証技術に用いられているディープラーニングは、人間が判断を下す業務の自動化を実現できるため、あらゆる分野で活用されるようになっている。しかし学習モデルの構築や質の高いデータの作成が困難なため、導入するハードルが高いのが現状である。
今回それらの課題を解決したソリューションが登場した。ディープラーニング技術を活用する企業に向けたソリューションを提供するLeapMind株式会社は、ディープラーニングモデル構築のための学習データ作成支援ソリューション「DeLTA-Mark(デルタマーク)」を提供開始した。
高品質な「学習データ」を作成する際の課題を解決
このプロダクトは、ディープラーニングモデル構築のための「学習データの作成を支援するソリューションだ。「学習データ」を作成する際には、作成に用いるデータ数が少なかったり、正解ラベルの付け方が統一されていなかったりすると、どんなに「学習用プログラム」を磨いても、高品質なディープラーニングモデルの構築は実現できないという課題がある。
また、大量・高品質な「学習データ」を用意するためには、複数の作業者で平行してアノテーションを実現できる仕組みが必要だ。このプロダクトは、複数の作業者への割当てと、管理者による作業結果確認の承認フローを回すことによって、作業の一元化・均一化・効率化の3つを実現し、ディープラーニングモデルの構築に必要な大量で高品質な「学習データ」を作成する際の課題を解決する。
リリース時はクラウド版での提供となるが、データを自社環境内に留めておきたいというユーザー向けに、オンプレミスでの提供も予定しているという。さらに、ディープラーニング技術を用いた「自動アノテーション機能」の提供も予定している。
アノテーション作業の一元化、均一化・効率化の仕組みを提供
「DeLTA-Mark」は具体的には上の図のような、アノテーション作業の一元化、均一化・効率化の仕組みを提供する。
また、LeapMindは、電力が限られた小さなコンピューティング環境でもディープラーニングが稼働する技術を保有しており、モデル構築からモデル圧縮、ハードウェア上への実装までをワンストップで実現するという。
その技術は以下の通り。
- 独自のディープラーニングアルゴリズム
ディープラーニングにおける計算量を圧縮し、FPGAのような小さなコンピューティング環境でもディープラーニングの威力を最大限発揮させる独自アルゴリズムの研究を行っている。 - ディープラーニングに対する最適なハードウェアアーキテクチャ
ニューラルネットワークをデジタル回路上で動作させることにより、FPGAをはじめとする小型デバイスでも省電力かつ高効率でディープラーニングの計算が出来る独自アーキテクチャの研究を行っている。
がん治療に大きな貢献をするディープラーニング
冒頭でも述べたがディープラーニングはあらゆる分野で活用されているが、医療の現場にもたらした影響も大きい。例えば、がん治療である。日本人の死因第1位である「がん診断」におけるAI活用は、病変部の発見精度を高めることを期待されている。ディープラーニングの進歩が、AIによる画像解析の精度向上に貢献しているのだ。大量の内視鏡やX線画像を解析することで診断の精度を向上させている。
また、東京大学発のベンチャー企業エルピクセルも、国立がん研究センター含む複数の医療機関と共同で、AIを用いた医療画像診断支援ソフトウェアの開発に取り組んでいる。
海外では、IBMが2016年に画像処理技術とAIを用いた診療の実用化に向け、医療システムや大学の医療センター、画像処理に関する企業との協業を発表した。
同年にはGoogleが、12万8,000点に及ぶ網膜の画像をニューラルネットワークを用いて学習させ、人間の眼科医とほぼ同等の正確さで診断が可能なアルゴリズムを開発。今年1月にはスタンフォード大学の研究で、AIが皮膚科医と同じ精度で皮膚がんの診断に成功した
また、中国のスタートアップ企業Infervisionは、画像認識とディープラーニングの技術を活用して「肺がん診断」に取り組んでいる。大気汚染が進む中国では、毎年約60万人が肺がんで亡くなると言われている。肺がんを早期発見することで、亡くなる人数を少しでも減らすことが狙いだという。
我々の予想をはるかに超えるテクノロジーの進化
テクノロジーは我々の予想をはるかに超えて進化している。ディープラーニングについては、競馬、ロト、株価などの予想に活用しようという動きも出てきているようだ。
「DeLTA-Mark」が今後さらにディープラーニングの質を上げ、我々の生活をより豊かにする一助となる未来はすぐそこにあるようだ。
img:PR TIMES