VRが作り出す仮想現実の世界をトレーニングの場として利用する企業が増えている。擬似的な作業を行うことができるため、業務リスクの認知や研修のコスト削減を実現できることが大きな強みだ。

しかし操作が複雑である場合が多く、利用するために動作パターンを記憶しなければいけないなど煩雑な課題が挙げられている。

そのような問題をVRコンテンツのプラットフォームを提供しているナーブが開発した新システム「MSSシステム」ならば解消できるだろう。

ナーブとNTTドコモ、VRコンテンツを触って選択できる新システム「MSSシステム」の開発に成功

現在VRを利用したゲームや動画など、エンタメ分野でのVRコンテンツは増加傾向にあり、今後はVRを中心とした娯楽が拡大することはほぼ間違いないと言える。

そのような状況の中で、VRコンテンツはゲームなどのエンタメから企業の社員研修・教育部門への採用が始まり、新しい分野への開拓が進められている。VRを研修に導入することで、以前までのe-ラーニングのような受動的な活用ではなく、リアリティのある研修を行うことが狙いだ。

また、VRを利用することで能動的な研修になるだけではなく、コミュニケーション研修など、指導人員や会場などのコストの掛かる研修を大人数同時に行うことができるため、VR研修に導入を賛成する企業は増加傾向にある。

VRの普及は企業研修だけでなく、会社見学などで一般の人も体験できるコンテンツ展開の段階に入った。

VRコンテンツのプラットフォームを提供するナーブ株式会社は、株式会社NTTドコモと共同で、VR空間において誰もが直感的に操作できる「MSSシステム」を新たに開発し、リリースした。

これまでは、VRコンテンツを操作するにはコントローラやセンサー、VR空間で特定の場所を見続ける「視点操作」といった特殊なインターフェースが必要で課題も多いものだった。

しかし、今回の「MSSシステム」は、VRゴーグルを装着した状態で自分の手を動かすと、目の前に自分の手が現れ、メニューボタンなどを自分の手で直接触って選択できるというものだ。特定のパターンを覚える必要がなく、誰でも操作が可能となっている。

このコンテンツの第1弾として、「JAL工場見学 SKY MUSEUM」にて整備士体験コンテンツを7月11日に公開する予定。以前は説明の難しいVRコンテンツも「MSSシステム」の導入により、自然な感覚でVRコンテンツを楽しめる。

顧客サービス向上のため、業界最大手Walmartが従業員向けにVRトレーニングを導入

企業研修分野では、最大手企業もVR導入に乗り出した。アメリカの世界最大スーパーマーケットチェーン、Walmart(ウォルマート)が顧客サービス向上のための従業員向けトレーニングに、VRを活用する予定だと発表した。

Walmartは、2016年に顧客サービスの向上を目的とする研修施設「Walmart Academy」を開設。全米200ヶ所に開設しており、年間15万人以上が施設で実地訓練を経験している。商品の安さや品ぞろえ以外にも、今後は顧客サービス向上にも注力し始める。

「Walmart Academy」で研修を受ける従業員は相当な人数になり、大人数の研修によって成果が均一にならないことも珍しくはない。そこで、Walmartが注目したのがVRだ。今後は、ヘッドセットやPC設備の導入がされる予定だ。

WalmartにおけるVR技術による従業員向けトレーニングは、一部ではなく実際に行う業務すべてを体験できる。顧客対応、従業員のマネジメント、さらに週や季節ごとに変わる混雑具合も仮想現実内で研修可能だ。

日本でもVRによる企業研修は導入されつつあり、セコムやJR東日本、東急建設が導入を開始した。サービスの向上を目的として小売店で働従業員向けのトレーニングにVR技術が使われることも、今後十分考えられるだろう。

VRコンテンツによる従業員研修の質は確実に向上する

VRコンテンツの企業への導入は今後ますます加速見せていくことが予測される。現段階では従業員が通常できないような体験や、費用や手間のかかる研修などを体験できるコンテンツは、VR以外にないといっても過言ではないからだ。

デジタルの力を最大限活用することで、ケースに合わせたサービスの質の向上や、危険を伴う業務のリスクが低減することで企業の生産性向上の助力として活躍してもらいたい。

img:PR TIMES