2018年も新たな年度となり、新社会人たちが下ろしたてのスーツに身を包んでいる姿を多く見るようになった。今までの学生時代とはうって変わった生活スタイルに戸惑っている若者も多いかもしれない。

彼らはいわゆる「Z世代」。ミレニアル世代とともに、それまでの世代とは働き方に対する考え方が異なると言われている。では、彼らの理想の働き方とはどんなものなのだろうか。

通勤総合研究所(通勤総研)は、獨協大学経済学部特任教授でありコラムニストの深澤真紀氏の協力を得て、若者の通勤&働き方を調査した。先輩社会人の新卒時代の働き方との比較という形で発表した。調査対象は18~29歳/一都六県在住/新社会人および社会人歴2~4年目男女/新社会人100名、社会人歴2~4年目200名である。

出世欲が高い新社会人

調査では「新社会人」と「先輩社会人」で様々な比較が行われている。ビジネスパーソンの理想と現実については、年収面では、新社会人の2年後の理想年収は453.5万円であるのに対し、先輩社会人の現実の年収は356.9万円と、約96.6万円の差が出た。

また、先輩社会人で「出世したい」と思う人は59.0%だったが、新社会人は「出世したい」が72.0%と、新社会人のほうが出世欲が高いことが伺えるとしている。

新社会人は99%の人が「通勤や仕事を効率化して取り組みたい」と思っていることがわかった。2018年の新社会人は効率を重視する傾向があるようだ。

一方で新社会人が最も効率が悪いと思っている場面は「通勤時間」で、先輩社会人と比較しても、通勤にストレスを感じることが多いようだ。

Z世代は出世欲が高く、何事も効率化する傾向にあることがわかる。面白いのは年収面だ。先輩社会人より理想が100万近くも高い。これは、金銭欲というよりは、より豊かさを求めているということではないだろうか。

通勤効率化ツール1位はダントツでスマホ

ストレスになっている通勤を効率化するためにはどんなツールが必要か。先輩社会人から新社会人へのおすすめ通勤アイテムを聞いた。

その結果、通勤を効率化するための有効ツール1位はスマホで60.0%、仕事で使っているツール1位もスマホで72.3%だった。

また、学生から社会人になって使うようになったアプリに、通勤・移動サポート系アプリがランクインした。学生から社会人になると、乗り換えや地図アプリ、電子マネーアプリなどの通勤/移動サポート機能を利用する傾向にある。一方で、ゲームアプリや写真アプリ、動画アプリなどの娯楽系アプリの利用は減少している。

スマホ定期利用率については新社会人が18.0%、先輩社会人が24.0%、また、先輩社会人のスマホ定期利用者の89.6%が「通勤が効率的になった」と回答している。

スマホ定期利用率を調査すると、社会人全体では10.8%の利用率に留まるが、新社会人では18.0%、先輩社会人にいたっては24.0%という結果になった。若者世代はスマホ定期の利用率が高いことが伺えるとしている。

さらに、スマホ定期を利用している先輩社会人は、そうでない人より仕事へのモチベーションや満足度が高いことがわかった。

深澤真紀氏は、この結果についてこのようにコメントしている。

『カフェでノートパソコンを開いてるときは「仕事ができる」ように見えてかっこいいけれど、町中や電車内でスマホを見ている姿は、少しだけかっこわるいような気もしてしまうものです。もちろん歩きスマホなどのマナー違反は論外ですが、一方でスマホにも様々なメリットがあるのです。』

理想が高いZ世代

この調査からすると、新社会人、つまりZ世代は、出世面、年収面と総体的に理想が高いことが分かる。加えて、何事も効率化して取り組みたいとの意向が強いことが分かった。

また、深澤氏も「スマホやアプリを使いこなす若手社員になろう」とすすめている。スマホはすでにインフラなみの普及を見せているが、それをいかに活用するかが鍵になる。Z世代の若手ビジネスパーソンには、これからの社会を担う立場としてデジタルネイティブの素養をぜひ活かしてもらいたい。