フリーランスやクラウドソーシングなど、ひと昔では主流ではなかった働き方が市民権を得て、その多様性は日に日に増しており、企業はそういった働き方をする人たちとの付き合い方を考えなければいけない時代になっている。

そして働き方の多様性が進むに伴って「健康」に関しての企業の取り組みや関心も広がってきている。このような中、健康に取り組む企業に向けたクラウドサービスが登場した。

株式会社iCARは、健康診断、ストレスチェック、産業医の面談記録、勤怠情報など従業員の健康に関する情報を一元的に管理し、産業保健業務のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を実現するサービス「​Carelyクラウド」を2018年5月7日より提供開始する。

AIやRPAの活用が期待される「健康経営」

「健康経営」や「働き方改革」というキーワードが注目を集めている。2017年6月に、厚生労働省より公表された労働政策審議会建議「​働き方改革実行計画を踏まえた今後の産業医・産業保健機能の強化について」では、長時間労働やメンタル不調などの過労死リスクが高い労働者に対し、産業医による面接指導や健康相談が確実に実施するよう、企業における健康管理の強化を求めている。

また、面接指導や健康診断の結果など、労働者の健康情報が適正に取り扱われ、労働者が安心して健康相談を受けられるようにする環境整備が急務となっている。

これらを実現する上で、産業医や産業保健スタッフに求められる役割はこれまで以上に大きくなっている。しかしながら、多くの企業における健康情報や面談記録は、紙やエクセルなどで個別ファイル管理されることがほとんどだ。

機微な情報を扱う業務のため、管理にかかる手間とコストは全体としてかなりの業務非効率化している。最近では、「働き方改革」の中で生産性向上が大きなテーマとなっており、この課題の解決のためAIやRPAの活用が期待されている。

従業員の様々な健康情報をクラウドに一元的に集約管理

Carelyクラウドは、以下の5つの特徴を持つ。

  1. 健康情報の一元管理
    従業員の健康診断、ストレスチェック、勤怠情報、産業医や保健師の面談記録など様々な健康情報をデータ化し、クラウドに一元的に集約管理することができる。過去の様々な健康情報を、個人に紐付けてカルテのように管理することが可能になり、健康情報へのアクセス性が高まり検索が容易になる。
  2. 面談候補者の自動判定
    データを投入するだけで、事前に設定した独自基準で面談対象者をリスト化できる。これまで、拠点ごとに異なった基準で行っていた面談対応も、独自基準で統一化することができ、全社的に統一基準での事後措置が可能となるという。また、健康診断、過重労働者、ストレスチェックのすべての面談リストを自動で作成することが可能だ。
  3. 産業医・保健師面談記録の登録
    産業医・保健師面談を、過去の対応履歴や様々な健康情報を確認しながら実施することができ、入力しやすい画面で簡単に面談記録や就業判定結果を登録することができる。また、人事などに共有する情報と産業医・産業保健スタッフしか見られない情報を分けて登録することができるため、ファイルを二重管理する必要もパスワードをかける必要もない。
  4. 健康診断業務の効率化
    健康診断の受診確認を従業員が登録することができ、健康診断未受診者には受診勧奨メールを一斉送信することができるため、煩雑な健康診断業務の手間が軽減。また、自動でリスト化された対象者に二次検診の受診勧奨メールなどを一斉送信することができる。

    健康診断結果を登録することで、項目ごとに自動でデータが集計され、有所見者数を確認することができる。これまで手計算で集計が必要だった労働基準監督署に提出する定期健康診断結果報告書に必要な数字を、瞬時に把握することが可能になる。
  5. 過重労働者面談業務の効率化
    従業員の残業時間を登録することができ、閾値を超えた対象者を自動でリスト化することができる。閾値は各社で設定することができ、基準を超えた従業員に対して「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」を一斉送信することができ、記入状況もリアルタイムで把握できる。

これらの特徴に加え、監修を現役産業医の株式会社iCARE 代表取締役、産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科医・心療内科医の山田洋太氏が担当する。同氏は厚生労働省「第2回 柔軟な働き方に関する検討会」にて提言するなど、IT企業を中心に100社を超える成長企業にアドバイスを行った現役産業医だ。

人事部にこそ必要な「HRTech」

「HRTech」はIT関連の技術を利用し、採用・育成・評価・配置などの人事関連業務を行う手法であるが、これは働き方改革にも重要視され、人事部にこそ必要であるという見方がある

人事領域(SAP)に特化したコンサルティング事業を手掛ける株式会社オデッセイは、「働き方改革」に対する意識を調査するため、全国の人事部門または「働き方改革」に係わる部門の所属者を対象に「働き方改革に関する意識アンケート」を実施した。

それによると「働き方改革」について、「必要性を感じている」が37.6%、「どちらかといえば必要性を感じている」が38.4%という結果になり、約8割が必要性を感じていることがわかった。
 
また人事部にHRTechは「必要だと思う」企業は22.8%、「どちらかというと必要だと思う」が26.6%という結果になり、人事部にHRTechが必要だと約半数が回答している状況がある。

人材とは会社が持つ「資源」である

Carelyクラウドの強みは、産業医の面談記録、勤怠情報など従業員の健康に関する情報を一元的に管理できるという利便性と、実績のある現役産業医が監修しているという安心感だろう。

このところ「働き方改革」について、「健康」に対する企業の取り組みがよく報道されるが、なかなか進んではいない。その必要性は分かっていても、実際の制度や環境づくりに手間や時間がかかり、企業側の思うように進まないというのが現状だろう。

「HR」は「Human Resources:ヒューマンリソース」の略語である。つまり、会社にとって人材は大切な資源なのである。その資源を傷つけず有効に活用し、最高のパフォーマンスを引き出すことこそ、真の「働き方改革」の目的なのだ。

img: PR TIMES