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誰しも、現代の技術進化のスピードは目をみはるものがあると感じているのではないだろうか。中でもIT業界においては、次々に新しいサービスがリリースされ、去年できなかったことが今年はできるようになっているという状況も頻繁に見かけられる。
このような中、株式会社日経BPコンサルティング「携帯電話・スマートフォン“法人利用”実態調査2018」の結果をまとめた。今回は、この調査結果をご紹介する。
投資意欲は「クラウドサービス」が最も高く、今後も期待できる
この調査によると、2018年のモバイル・ソリューションへの投資に関する重点投資分野の1位は「クラウドサービス」、次いで「人工知能(AI)活用」、「IoT/M2Mソリューション」、「スマートフォン」、「モバイルの業務アプリケーション連携」という結果になった。
2018年のモバイル・ソリューションへの投資は、昨年同様「クラウドサービス」が最も高く、今後の投資が最も期待できる項目であるという。次いで「AI活用」への投資で前回から大幅に拡大した。このように企業のAIに対する注目が高まっているといえる。
その他、「IoT/M2Mソリューション」、「スマートフォン」、「モバイルの業務アプリケーション連携」、「タブレット端末」、「モバイル・セキュリティ」が続く。
また、「VR/AR活用」に対する投資にも期待できるとしている。そして、「ロボット/ドローン活用」に対する投資も昨年調査時よりも拡大する傾向にあるという。
2017年の投資の注力度(指数)は対2016年で全22項目が拡大し、2018年の注力度は対2017年についても全項目が拡大するという。2017年から2018年への投資拡大幅が最も大きいのは、「IoT/M2Mソリューション」だった。
2018年は、企業のICTに対する投資が「IoT/M2Mソリューション」により多く注ぎ込まれるということになる。次いで、「AI」への投資拡大が期待される。「AI」への投資は、昨年は9位であったが、今回2位の投資拡大率となっており、企業の「AI」に対する注目の高さが見受けられるとしている。
AIに対する企業の関心度は約5割も
昨年に引き続き、ICT分野で注目の「IoT」、「ロボット/ドローン」、「AI」の事業への活用の関心度、また活用状況や各関心/活用における具体的な項目についても調査した。調査の結果、この1年で「IoT」、「ロボット/ドローン」、「AI」に対する関心度、活用/活用意向が高まっている。
それぞれに対する事業活用への企業の関心度は、「IoT」が43.6%、「ロボット/ドローン」が26.2%、「AI」が48.2%という結果で、この1年で関心度が大きく高まってきた。特に関心が「高い」と回答した企業の比率は、「AI」が25.6%と昨年から12.4ポイント拡大した。
「IoT」よりも「AI」に対する関心度が、この1年で非常に高まっている。各項目について活用中の企業も拡大しており、「IoT」は10.9%、「ロボット/ドローン」は7.9%、「AI」は5.5%の企業が活用中と回答。将来に向けての検討まで含めると、「IoT」、「AI」ともに過半数を占める。
業種によって、関心度、活用率は異なり、「IoT」の関心度、活用率が高いのは「電気・機械系の製造業」、「ロボット/ドローン」は「建設・土木業」、「AI」について関心度が高いのが「金融・不動産」、活用率が高いのは「サービス業・その他」であった。また、従業員規模でみた場合、いずれも従業員規模が大きいほど関心度、活用意向が高いとしている。
総合満足度トップはNTTドコモ
音声端末主契約、データ端末主契約の総合満足度1位は、いずれも昨年に続きNTTドコモであった。音声端末主契約の2位には、KDDI(au)で、昨年のソフトバンクから逆転。一方、データ通信端末主契約の2位はソフトバンクで、KDDI(au)と入れ替わった。
音声端末主契約において、総合満足度以外の各項目では、NTTドコモが11項目中、6項目で1位を獲得しており、1位の数が最も多い。その1位の項目は、昨年と全く同じく、「通話エリア(屋内外の2項目)」、「通話品質」、「法人営業担当者の対応」、「販売店・ショップ店員の対応」、「アフターサービス・サポート体制」である。エリア/品質と法人営業担当を中心とした対応面での満足度は非常に高く、NTTドコモの強みは変わっていない。
一方で、価格、料金面での満足度が他の通信事業者よりも低い点は、昨年と変わらない傾向となっている。また、データ端末主契約においては、昨年と同じく、「データ通信速度」を含め、7項目で1位となった。
2位となったKDDI(au)は、「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」の2項目が1位で、これに加え「通話エリア」、「電話機の価格」、「電話機」に関しスコアアップしている。
3位のソフトバンクは、「電話機の価格」、「月々の利用料金」、「電話機」の3項目で1位となっている。また「法人割引サービス」、「法人向けサービス/ソリューション」の2項目以外の9項目でスコアアップをしており、従来評価の低かった「通話エリア(屋内外の2項目) 」、「通話品質」に関しても、昨年に続きさらにスコアアップとなっている。
業務で必要な携帯電話・PHS音声端末の月額料金において、会社が負担している額は、一人当たり平均5,013円だった。昨年平均の5,115円から、今回は102円減となり、昨年の957円減少ほどではないものの、引き続き減少となった。昨年の通話定額の利用率は全体で57.1%、今年は60.4%と、通話定額への移行も、ある程度落ち着いた感があると考えられるとしている。
また、データ定額/パケットパックの利用率も、全体で63.2%(昨年63.4%)、さらにデータシェアプランについても、全体で51.5%(昨年50.2%)と、いずれもほぼ変わらない数値となっていた。
企業における格安スマホの利用率は約2割
格安SIMによる通話サービスを利用している企業は2.8%で、昨年の1.6%から1.2ポイントの拡大となった。今後の利用意向を含めると、12.6%の企業が格安SIMによる音声サービスを利用する可能性がある。一方、データ通信サービスに格安SIMを利用している企業は5.1%で昨年の3.3%から1.8ポイントの拡大となった。利用意向まで含めると14.8%であった。
格安スマホの利用率は1.9%で、昨年の1.4%から0.5ポイント拡大。利用意向を含めると10.8%で昨年の12.9%から2.1ポイント縮小しているが、約1割の企業が格安スマホを利用する可能性があるとしている。
年々高まる企業のAI、IoTに対する活用意向
このように、2018年の投資注力度が最も高いのは「クラウドサービス」で、投資拡大幅が最も大きいのは「IoT/M2Mソリューション」であり、「AI」への投資も拡大している。
AIやIoTに対しては関心度も非常に高く、企業の活用/活用意向が年々高まっていると言える。