マーケットリサーチ会社 GfK Japanによれば、2017年上半期、国内電動アシスト自転車の販売台数は、前年比11%増、金額ベースでも同12%増と伸長している。

市場の成長には、子育て世代向けのチャイルドシート設定車が大きく貢献していることは間違いない。だが同時に、通学や通勤用のシティサイクルをはじめ、より嗜好性の高いロードタイプ、マウンテンバイクタイプなどへとラインナップが広がり、市場全体が活性化していることも注目すべき点だ。

パナソニックが7月4日に発表した、電動アシストマウンテンバイク「XM1」

そして現在の国内市場は、ヤマハ、パナソニック、ブリジストンなどの数社が寡占している状態。そんな国内の電動アシスト自転車市場に、ドイツのBOSCH(ボッシュ)が参入すると、8月に発表されたのだ。

 

約70ブランドがBOSCHの電動アシストユニットを採用

BOSCHと言えば電動工具、もしくは自動車部品が、まず思い浮かぶ。だが欧米では、既に同社の電動アシストユニットが、約70以上の自転車ブランドで採用されている。

そう、同社が参入するのは、完成された電動アシスト自転車ではなく、電動アシスト“ユニット”。つまり、モーターとバッテリー、ディスプレイ、チャージャーがセットになった電動アシスト自転車用システム「Bosch eBike Systems」を、自転車ブランドに提供するのだ。

日本で展開される「Bosch eBike Systems」の最新シリーズ「Active Line Plus」

それだけではない、同社は今後「『Bosch eBike Systems』を搭載した電動アシスト自転車を販売する店舗に、コールセンター、ワランティ対応、スペアパーツの供給および技術サポートなどの販売サポートを提供」するという。

自転車ブランドにとっては、これまで通りフレームなどの開発に専念し、あとはBOSCHのユニットを搭載すればいいだけとも言える。各ブランドが一から電動アシストの基幹部を開発することなく、アイデアさえあれば、すぐに電動アシスト自転車を作り出せるのだ。

既に同システムを採用する約70以上のブランドの中には、TrekやBianchi、PEUGEOT、Cannondale、Tern、Scottなど、日本でもお馴染みのブランドが多く含まれている。

そのうち、Trekは先日開催した販売店向けのディーラーショーにて、「Bosch eBike Systems」を採用したスポーツバイクを展示していた。

BOSCHが日本市場への進出を発表したということは、Trekの他にも、こうした欧米ブランドが、日本にも続々と上陸する可能性があるということ。

「SCOTT E-GENIUS 700 PLUS TUNED BIKE」。日本に導入される「Active Line Plus」とは別シリーズの「Bosch Performance CX」を搭載

Tern「Vektron」

同社日本法人の広報担当は、次のようにコメントしている。

「Bosch eBike Systemsは、プレミアムセグメントをターゲットにしています。通勤はもちろん、アクティブに自転車を利用される方を想定しています。ヨーロッパでは日本では展開していないラインも揃えています。そのため、ターゲットユーザーはシニア層や通勤層が主なシェアになります」

「Bosch eBike Systems」は、日本での導入が決まった「Active Line」のほかに、「Performance Line」と「Performance Line CX」の大きく3シリーズがある。

まずは「Active Line」で地歩を固め、徐々に取り扱いパーツやシリーズを拡大していくだろう。そうなれば、国内の電動アシスト市場はより活性化し、競争原理が一層働くはず。今後、魅力的で、多彩なカタチの電動アシスト自転車が販売されていくはずだ。

BUTCHERS & BICYCLESのカーゴバイク「MK1-E」