IoE
IoEとはInternet of Everything、すなわち「全てのインターネット」である。
2012年にシリコンバレーに本拠地を置くコンピューターネットワーク機器開発会社シスコシステムズによって提唱された。IoEのコンセプトは、「モノ」(IoT=Internet of Things : モノのインターネット)をはじめ、「人」「データ」「プロセス」といった一連の流れを網羅した情報を提供することである。
すでに一般に浸透しているIoTは、さまざまなものに取り付けたセンサーが感知する情報を、クラウド上に集約し、ネットワーク上でつながる端末からその情報を共有することであるが、IoEはそれを含めた全てのものをインターネットに接続し、より良い社会、文化、環境を構築することを指す。
例えば、行政では役所の情報をオープンデータにし、公共のゴミ箱に設置したセンサーで遠隔からでも空き情報を確認できるようになった。これにより、清掃員が効率よくゴミ収集できるようになり、労働時間の短縮化につながった。また、水道メーターをIPネットワークに接続することで、利用者に使用状況がリモート送信され、水道の使用量を節約することもできる。
ヘルスケアの分野では、患者の血圧や体温から得られた情報をデータベースと同期するとともに、食事や症状、体調などをドクターがいち早く察知し、これまで以上に適切な治療が可能に。そして、交通量をリアルタイムに把握することで渋滞を緩和したり、温室度や風速風量、雨量などを気象センサーで計測することで災害予測や防災を促す期待も高まっている。その他にも、クラウドやセンシングによって集積したデータをリアルタイムに抽出して分析、状況予測に活用できる。
こういった施策は、今後新たな産業の一環として拡大すると予想される。ここで課題になるのは、プライバシー保護やセキュリティ対策だ。すべての人の行動がデータ化される、ということは可視化できるという利便性と同時に、監視下に置かれるというリスクも伴う。従って今後はIoEの活用を前提としたITインフラに対する法律や規制を整えることも必要になってくるだろう。
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