HRテック


HRテックとはHuman Resources Technologyの略で企業の採用活動や人事評価、人材育成などの人事部が担当している業務にテクノロジーを導入する事によって業務改善を行うソリューションの事を指す。


ここで使われているテクノロジーとはITテクノロジーの事を指し、具体的にはWEBによるマッチング、クラウドシステム、AIの活用、ビッグデータ解析などの技術が挙げられる。


人事は人材の採用・育成、社員の社会保険手続き・給与支払い、勤怠管理、評価など「人材」に関する広範な仕事を行ってきたが、例えば採用する人間の決定や育成方法など人事の暗黙知や経験則によって処理されている仕事領域が多かったり、社会保険手続きや給与計算などの考える必要はないけれども複雑な作業を行う仕事が多かった。この様な人事の暗黙知や経験則、手間のかかる作業をITの力によってメスを入れ、業務を効率化しようと言うのがHRテックの基本的な思想である。


この様な思想は元々、アメリカでSAPやOracleの様な会社が大企業向けに人事管理のシステムを販売した時から始まるが、カスタマイズや更新の費用が高額であったため一部の大企業にしか普及していなかった。HRテックの技術が一気に普及しだしたのはここ数年で安価に導入できるクラウドサービスが登場したこと、技術の発展により膨大な人事データを一般の会社が使用するコンピューターでも処理可能になったことによって、大企業だけではなく中小企業や零細企業でもHRテックを活用する事が可能になった。


HRテックを提供している企業は、人事の仕事領域を様々に分解してソリューションを提供している。例えば求人に特化した検索サービスを提供しているIndeed、勤怠管理を行うジョブカン、社会保険手続きではSmartHR、給与計算に関してはfreee、人材管理についてはカオナビ、社内コミュニケーションについてはチャットワークなどのサービスがある。この様に、HRテックと一口に言っても人材採用から、社内コミュニケーション、公的手続きなど様々な領域に対して様々な会社がソリューションを提供している。


この様なHRテック系のソリューションは企業毎に個別に膨大なシステム開発費用をかける必要はなく、汎用的なソリューションがクラウドサービスとして、安ければ月々数千円から販売されていることから急激に市場が拡大している。ミック経済研究所の調査結果によると、HRテック市場は2016年120億円、2017年185億円と2021年までに610億円の市場規模になる事が予想されている。


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