ロボットビジョン


ロボットビジョンとは、視覚機能を目的にロボットに組み込まれるカメラシステムである。


ロボットに人間の目と同じような視覚機能を持たせることで、カメラを通し撮影された対象物を認識し、最適な判断をロボット自らが実行するために使用される。


ロボットビジョンは大きく分けると「センサ」と「画像処理システム」の二つで構成される。センサとは対象物を撮影するカメラそのもので、視覚範囲内にある物体の撮影を行うロボットの目に当たる役割を果たす。センサには通常のカメラ以外にもいろいろな種類があり、より広い範囲を撮影する広角カメラ、遠い場所を撮影する望遠カメラ、暗所でも撮影できる暗視カメラなどロボットの用途や目的に応じて搭載されるセンサーは異なる。複数のセンサーを切り替えて、より高度な撮影を行うロボットも存在する。


画像処理システムとは、センサによって撮影された画像を認識し、処理するシステムである。ロボットビジョンが単にセンサで画像を撮影するだけではただのカメラだが、画像処理システムを通じて処理を行い、最適の行動を行うことでロボットはより高度な機能を実現する。画像処理システムの中でも広く知られているのが顔認識システムである。


顔認識システムはセンサで撮影された画像の中から人間の顔を検出するシステムで、デジカメの撮影システムとして広く普及している。セキュリティの分野でも個人単位の顔識別により、キーレスでロックを解除できる顔認証システムが開発されている。産業分野ではベルトコンベアーを流れてくる製品のすべてを撮影し、何らかの異常がある製品をはじいて出荷しないように検品する不良品検知システムなどが知られている。


ロボットビジョンは視覚情報を直接情報として入力できるため、非常に汎用性が高い。さらに、センサによって撮影された画像はリアルタイムで画像処理システムで処理されるので時間的なロスは発生しない。センサと画像処理システムによって得られたデータごとにすべき行動をあらかじめプログラミングをしておけば、オペレーター無しでもロボット単独で最適な運用が実現する。


ロボットビジョンの課題は認識精度である。撮影情報の精度や認識精度はそれぞれセンサと画像処理システムの性能に依存する。ロボットが誤認識することなく正確な行動を行うためにはより高性能のロボットビジョンが必要だが、高性能になるほどコストが高くなり、装置自体も大型化してしまうため搭載できるロボットが限られてしまう。ロボットビジョンは主に産業用ロボット分野で普及しているが、今後は家庭用分野への進出も予想されている。


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