レイテンシー


レイテンシーとはコンピューターデバイスで発生する処理の遅れのことである。


コンピューターデバイスは使用者によるインターフェースからの入力をデバイス側が処理し、出力として結果が提供される。この仕組は基本的にデバイスの機能や規模には左右されず、全てに共通する基本となる。


デバイスは入力に対し出力という形で結果を提供するが、その間には若干のタイムラグが発生し時間的な遅れが生じる。その時間的な遅れをレイテンシーと呼ぶ。レイテンシーをゼロにすることは不可能である。デバイスが入力を処理して出力する以上、絶対に処理時間は必要となる。レイテンシーが存在しないのはモノに対し直接的に影響を及ぼす行為(手で荷物を押すなど)のみであり、演算処理を必要とするコンピューターデバイスにおいてはレイテンシーは必ず発生する。


レイテンシーはデバイスにつきものであるが、レイテンシーの程度はデバイスごとに異なる。レイテンシーは一般的に「高い」「低い」で表現され、高いほど遅れが大きく低いほど素早く反応することを意味する。レイテンシーの程度はコンピューターやソフトウェアの処理能力が大きく影響する。高性能なコンピューターほど入力された命令を素早く処理できるため、レイテンシーは低くなる。ソフトウェアが無駄なく洗練されているほどロスがなく、レイテンシーは改善する。


実際のデバイスはCPUやメモリ、ケーブルなどさまざまなパーツの集合体として機能しているため、あるパーツだけが高性能でもレイテンシーは改善しない。レイテンシーに影響するのは常にレイテンシーが最も高いパーツであり、ボトルネックとなる低性能のパーツがあれば、その他の部分がどんなに高性能でもレイテンシーは高くなってしまう。ソフトウェアとの関係も重要で、ハードだけあるいはソフトだけが高性能でももう一方に問題があればレイテンシーは改善しない。


レイテンシーは「ms(ミリ秒)」という単位で表される。レイテンシーが1msであれば、入力に対し1000分の1秒ほど遅れて出力される。レイテンシーの平均値はデバイスごとに大きなばらつきがあるが、音響機材として使用されるスピーカーで20ms以下であれば優秀な値とされている。


レイテンシーが問題となるのはネットワークである。直接接続して使用するデバイスで発生するレイテンシーは実用上ほとんど無視できるレベルだが、ネットワークのレイテンシーは体感的にも実用的にも影響は大きい。ネットワークのレイテンシーはデバイスの性能以外にも回線品質や混雑具合、サーバーの状況など多くの要素が影響するため、エンドユーザー側の努力だけで改善するのは困難である。


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