ライトフィールドカメラ


ライトフィールドカメラとは、撮影後に好きなところに焦点を合わせられるカメラである。


従来型のカメラは撮影時に焦点を合わせる必要があった。焦点合わせに失敗するとピンボケ写真になってしまったが、撮影後に焦点が合わせられるライトフィールドカメラであればピンボケ写真は起こりえない。焦点合わせの必要がないので、撮影者の技術に関係なく常に一定水準以上の写真撮影が可能になる。


従来型のカメラはレンズを通って入射する光の焦点を調節して撮影を行っていた。入射光がフィルムカメラならネガ、デジタルカメラならセンサーで結ばれることでピントが決まっていたのだが、撮影者の技術によってピントがずれることもしばしば起こっていた。


ライトフィールドカメラは従来型のカメラで入射光の焦点となる位置にセンサーではなく、特殊なマイクロレンズが設置される。マイクロレンズは非常に小さく、数は数十万個以上にもなる。このマイクロレンズの効果によりメインレンズから入射した光はその全てがセンサーに記録される。


従来型のカメラが撮影時の調整によって記録する光を選んでいたのに対し、ライトフィールドカメラは撮影時の3次元空間の光情報の全てを記録する。ライトフィールドカメラで撮影された写真には3次元空間の光情報が全て記録されているため、情報を取捨選択することでピントを自由に調整できるという技術を確立している。


ライトフィールドカメラの歴史は古く、100年以上前に基礎的な理論はほぼ完成していた。しかし、3次元空間の光情報を全て記録するというのは簡単ではなく、実用的なライトフィールドカメラが完成するのはデジタルカメラが普及して以降である。フィルムカメラでライトフィールドカメラを制作するには膨大なレンズを備えた多眼カメラになってしまうため、実用的なカメラは実現し得なかった。


ライトフィールドカメラを実現させたのは、空間の光情報に対応する特殊なレンズと膨大なデータ量を扱える高解像度センサーの開発である。2010年以降は家庭用カメラでもライトフィールドカメラの機能を持つものが発売されている。


ライトフィールドカメラのカメラの抱える欠点が解像度である。ライトフィールドカメラの解像度はマイクロレンズの数に依存するため、センサーの性能が向上してもマイクロレンズが変わらなければ解像度は向上しない。センサーはデジカメにも使われる技術なので研究も活発だが、特殊なマイクロレンズはあまり研究が盛んではないため解像度向上のボトルネックとなっている。


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