フードデリバリー
フードデリバリーとは、調理した飲食物を配達するサービスである。
飲食サービス業は大きく分けると調理した飲食物を店内で飲食する、飲食物を持ち帰り販売する、飲食物を注文主まで届ける、の3つに分類される。フードデリバリーは飲食物を注文主まで届けるタイプの飲食サービス業の総称であり、配達専門のスタッフを抱えている。
フードデリバリーは指定した場所に注文品を届けてもらえるため、客側からするとわざわざ外出せずに食事ができるというメリットがある。飲食できる店が近くにない、雨で外出するのが面倒だ、仕事が忙しくて時間がとれないといったケースでは指定場所に食事を届けてもらえるフードデリバリーが便利である。
店側のメリットとしては、立地に左右されることなく営業できるというメリットがある。飲食店の経営において最も重要な条件となるのが立地である。人通りの多い好立地であれば入店する客も多くなるが、人里離れた山奥では客が来る可能性は低くなる。どんなに料理の水準が高くても、行きにくい店というのはそれだけで敬遠されてしまい経営に支障をきたす可能性が高い。しかし、条件の良い立地は家賃も高く経営コストは上昇する。さらに店舗内の客席スペースは店の面積によって決まるため、客席スペースを広く取るとそれだけ家賃も上昇してしまう。
フードデリバリーは調理した飲食物が配達されるため、店舗の立地に経営が大きく左右される可能性は低い。配達エリアは課題となるが、人通りの少ないエリアであっても配達するのに問題がなければ十分営業が可能だ。そのような立地は人気が低く家賃も安いため、通常の飲食店よりも低コストでの経営を行うことができる。さらに、飲食は届け先の住宅やオフィスで行われるので、店舗側に飲食スペースを用意する必要はない。店内飲食とデリバリーを両方行っている店もあるが、デリバリー専業であれば厨房と作業スペースさえあれば経営は可能であり、最低限のコストのみで経営できる。
日本におけるフードデリバリーの先駆けはそば屋の出前である。かつてはせいろを何十枚も重ねて自転車で配達する出前持ちが存在したが、都市化の進行とともに徐々に姿を消し、現在ではオートバイや自動車による配達がほとんどとなっている。
日本でフードデリバリーが拡大するきっかけとなったのがデリバリースタイルのピザチェーンである。アメリカを本拠地とするデリバリーピザは1980年台に日本に上陸し「30分以上遅れたら無料」というキーワードで一躍認知度を高めた。デリバリーピザの定着以降フードデリバリー業界はさらに多様化が進み、カレーや中華料理、弁当など作りたてのおいしさが自宅で味わえるようになっている。
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