フェアトレード


フェアトレードとは、発展途上国と先進国の間で公正な条件に基づいて行われる貿易取引である。


直訳すると「公平な貿易」という意味になるフェアトレードは、不利な立場から不当に低い条件で行われていた発展途上国との貿易を公正で公平な水準で行い、現地の生産者や労働者の経済的自立をめざすのが大きな目的になっている。利益を含む商取引ではあるものの第三国支援という側面が強く、ビジネスの中に経済支援を盛り込むという新しい形の経済支援スタイルとして注目を集めている。


過去の発展途上国との貿易取引では、先進国がその優位性を利用して利益を大きくするために発展途上国側に不当な条件を突きつける例が多く見られた。中には経済的自立をするに満たない価格水準での取引を強要するケースが報告されており、人権団体から現代版の植民地貿易であると強い批判を受けていた。そのような状況の中で考えだされたのがフェアトレードという貿易取引の形だ。


フェアトレードで目指すのは、自国の利益と取引相手となる発展途上国側の利益の両立である。そのため取引価格は必ず相手方の利益も確保できる水準が設定され、輸入側と輸出側の双方が持続的な取引を可能する。


フェアトレードが普及することで発展途上国側の利益が大きくなれば労働者の教育や近代的設備の導入などが進み、劣悪な労働環境の改善が期待される。輸出側にも正当な利益を与えることで発展途上国の貧困問題や教育問題の改善が進むと同時に、輸入側の先進国企業にも持続的な取引や人権に配慮した企業であるというパブリックイメージという形でのメリットが生じる。


フェアトレードには国際的な基準が設けられており、「経済的基準」「社会的基準」「環境的基準」の3つを柱にした国際フェアトレード基準は国際団体によって運用され、フェアトレード参加企業に対して基準が守られているかどうかをチェックする抜き打ち検査が実施されている。国際フェアトレード基準を満たしている企業にはフェアトレードを実行している証として、国際フェアトレードラベル機構(FLO)から国際フェアトレード認証ラベルの使用が認められている。


1980年代にスタートしたフェアトレードは、国際取引量の増加と人権意識の高まりから右肩上がりにその規模が拡大している。今後はフェアトレードを国際取引のスタンダードとするために、新たな国際取引慣行の作成や企業意識改革の促進が期待されている。


【おすすめの記事】