ファクトチェック(Fact Check)


ファクトチェック(Fact Check)とは、情報が事実(fact)であるかチェックし、真偽を確認することである。主にニュースや政治的情報などを対象に行われることが多い。


ファクトチェックはもともと「裏取り」や「事実確認」と言った形でマスメディアがその役割を担ってきた。ニュースとなった事象の一方の当事者に対してだけでなく、関係者全てに取材を行うことで事実であることを確認したり、複数の資料をあたることで信憑性を確かなものにする作業などがファクトチェックにあたる。このようなファクトチェックはマスメディアの基本とされており、今でもファクトチェックが行われていないニュースは情報としての価値が低いと判断される。


長くマスメディアが担ってきたファクトチェックだが、大きな転換点を迎えたのがインターネットの普及である。それまでは不特定多数を対象に情報を提供するというのはマスメディアのみに許された特権であったが、インターネットの出現により一般市民でも簡単に全世界を対象に情報を発信できるようになった。マスメディアを通さない一次情報が提供されることで情報量も多様性も飛躍的に増えたのだが、同時に問題になったのがフェイク(fake)の存在である。


インターネット上に発信される情報はマスメディアのようにファクトチェックが行われていないため、信憑性は全く保証されない。中には明らかなデマや誤情報も紛れているが、事情に詳しくない第三者から見るとフェイクの情報があたかも事実であるかのように見えるケースは多い。当初はフェイク情報もごく一部に限定されていたが、インターネットの活用が進むと同時にフェイクによる被害は無視できないものになっていた。インターネットにあふれるフェイクに対抗するために世界各国で多くの非営利団体がファクトチェックを実行し情報の真偽を知らせている。


ファクトチェックが特に注目を集めたのが2016年に行われたアメリカ大統領選挙である。ドナルド・トランプの躍進が話題となった2016年の大統領選ではインターネット上のニュースが選挙の結果に大きな影響を与えた。だが、ネットニュースの中には明らかなフェイクニュースも多数含まれており、ファクトチェックによる取り締まりとフェイクニュース発信者の間で激しい攻防戦が繰り広げられた。


ファクトチェックは行動情報化社会において欠かせない存在である。情報が高度化、多様化するということは誤情報が与える影響もそれだけ大きくなる可能性があるため、円滑な社会運営のためにファクトチェックの徹底がさらに重要性を増していくと予想される。


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