テレワーク


テレワークとは情報通信技術を利用した遠隔勤務形態である。テレワークで働く者をテレワーカーという。


一般的な労働は会社などの現場に出社し労働行為を行うが、テレワーカーは自宅など現場以外で労働を行い、その成果を情報通信技術を用いて会社へと送信する。労働者は通勤時間の削減、雇用主は通勤手当の削減というメリットが発生する。


テレワークの原型となる遠隔勤務の概念が誕生したのは1970年代前半のアメリカである。当時は中東情勢の不安定化による石油危機が深刻化しており、エネルギー問題の解決が世界的な課題となっていた。アメリカでは通勤にマイカーを使用するのが一般的なため、ガソリン消費の削減のために考え出されたのがテレワークの始まりである。


エネルギー問題解決の方法として誕生したテレワークだが、その後女性の社会進出が進むに伴いさらに注目を集める事になる。自宅にいながら労働できるテレワークは主婦の社会参加と非常に相性がよく、未来の働き方として世界中に広まっていった。長い通勤時間は女性の社会進出を阻む壁となっていたのだが、情報通信技術の発達により手軽にシステムが構築できるようになったのもテレワーク拡大を推し進める要因となった。2000年以降はIT技術の発達とともにテレワークで対応できる業務が急速に拡大し、かつては出社しての業務が必須だった分野にもテレワークが拡大している。


テレワークは「雇用形」と「非雇用形」の2つに分類される。
雇用形のテレワークは企業に雇用される者が遠隔勤務するスタイルで、自宅で働く在宅勤務と出社が義務付けられず遠隔地で働くモバイルワークがある。
非雇用型はSOHOや在宅ワークなど、個人事業主や自営業として働くモバイルワークである。雇用形と非雇用形は遠隔労働という点は共通しているものの、実質的な働き方は全くの別物である。


総務省が発表した平成27年版「情報通信白書」によると、テレワーカーの数は2014年時点で550万人である。過去最高だった2012年に比べると2年連続380万人減である。潜在的メリットに対し普及が遅れるテレワークであるが、総務省は ICTによる新たなワークスタイルを掲げ、テレワークの普及を促進している。テレワークの進行により潜在的な労働力の掘り起こしを進め、新時代のワークライフバランスを構築すると同時に特定分野における人手不足の解消と長時間労働の改善をめざすのが大きな目的であるが、認知度の低さや給与水準など解決すべき課題は多い。


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