地域通貨
地域通貨とは、国及び中央銀行が発行する法定通貨ではなく、地域やコミュニティが発行する限定的で小規模な特殊通貨である。
地域通貨は厳密にいえば通貨ではないが、その性質から通貨と同等の価値を有している擬似的な通貨であるとみなされる。地域通貨の特徴には以下の様なものがある
- NPO団体や商店街、商工会など民間団体によって発行される
- 市町村など公的機関による法的な価値の裏付けがない
- 使用出来る地域や条件には制限が設けられる
- 通貨としての側面よりもコミュニティ内の交流や結びつきが重視される
- 法定貨幣との両替えは基本的に不可能
- 利子がゼロ、又は負の利子が発生する
- 使用期限が設定されることがある
以上のようなものが地域通貨の特徴であるが、地域通貨に条件や定義などはなく上記の特徴から外れた地域通貨も存在する。
地域通貨の主たる目的は地域振興であることが多い。ある特定の地域内で法定通貨のように使用できる地域通貨を発行することによって、地域内での経済取引や人的交流を促進し活性化をめざす。地域通貨は法定通貨のようにモノやサービスとの交換が可能だが、見守りサービス介助サービス、育児サービスなど特定の目的にのみ使用が認められる地域通貨も存在する。
地域通貨は通常利子が発生しないため、預金や貸し付けによる利益を得ることができない。そのためほぼ全額が消費に回されることになるので、理論的には通貨発行量が直接的に地域経済の活性化に効果を及ぼすことになる。
使用期限が設定されている地域通貨も存在する。このような地域通貨は使用期限が近くなるほど消費の選択肢が実質的に限定されてしまうために通貨の価値は低下する。1千万円の法定通貨ならほしいものがあるまで貯蓄しておけるが、明日が期限の1千万円の地域通貨は今日中に消費しなければ紙くずになってしまう。ムダにしないためにはそれほど欲しくないモノやサービスに消費しなければならず、使い勝手の問題から法定通貨1千万円よりもみなし価値は低くなる。
家電量販店のポイントなども広義では地域通貨の一種に含むとする見方もあるが、地域活性化が主目的であるという立場からすると地域通貨にはなじまない。現在では地域やコミュニティの活性化を主目的として発行されるものを地域通貨とするのが主流である。
地域通貨の問題点として税負担があげられる。法定通貨ではない地域通貨で経済取引が行われると課税は困難であるため、脱税や税逃れの問題が発生する。現在は小規模かつ公共的な側面が強いため地域通貨による取引への課税は行われていないが、地域通貨を悪用しての脱税などを防ぐための取り組みは急務である。
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