裁量労働制
裁量労働制とは、職務内容や労働時間の配分に関して裁量性が高く、労働時間よりも労働の質(内容や成果)に着目して給料が支払われる従業員に関して、一定のみなし労働時間を定めれば、実際の労働時間数にかかわらず、それだけの時間について労働をしたとみなす制度のことを指す。
裁量労働制を満たす要件は、3点あるとされている。
1つ目は、裁量労働者に関する制度であること。2つ目は、実際の労働時間数に関わらず労働時間を一定時間とみなすこと。最後に、成果主義人事制度とリンクしていることであり、この3要件が満たされていることが必須となっている。
なお裁量労働制は、1987年の労働基準法改正によって専門的業務従事者に関して導入され、続いて1998年の労働基準法改正によって企画業務型裁量労働制が導入されている。
専門業務型裁量労働制を導入するために必要な要件は、2つある。1つ目は、業務の裁量性が強いため、その職務遂行方法および労働時間の決定について、具体的指示をすることが困難な業務であることであり、2つ目は、一定事項を定めた労使協定を締結することである。
なお、専門業務型裁量労働制の対象業務としては、新商品や新技術などの研究開発、情報処理システムの分析や設計、新聞や出版の記事の取材や編集、公認会計士や弁護士、証券アナリストなどが挙げられる。
また、企画業務型裁量労働制を導入するために必要な要件としては、企画型業務に該当するか否かという点と、労働者であるという点をみたしており、なおかつ労使委員会における決議が必要となっている。
企画業務型裁量労働制の対象業務としては、企業の中枢部門で企画・立案・調査・分析の業務に従事していることとされています。そしてこれらの業務の性質上、仕事を適切に遂行するためには、その職務遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があり、職務遂行の手段や時間配分の決定に関して経営者や管理職が具体的な指示をしない業務であることが要件として定められている。
裁量労働制の導入に伴う「みなし労働時間」については法定労働時間である1日8時間を超える時間を定めても問題はないが、その場合は労使間における36協定の締結と労働基準監督署への届け出と、割増賃金の支払いが必要となる。
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