クリーンディーゼル


クリーンディーゼルには通常のディーゼルより環境に優しいという特徴がある。


ガソリンエンジンでは文字通り「ガソリン」を燃料に用いているが、ディーゼルエンジンではガソリンより価格の安い「軽油」を燃料に用いているという違いがある。ガソリンエンジンでは点火装置によってガソリンを燃焼させているが、ディーゼルエンジンでは自己着火により軽油を燃焼させている。この自己着火により燃焼させるためには燃焼室を高温高圧にすることが必要になる。高圧縮比だと排気ガスに含まれる窒素酸化物が増えてしまう。


従来のディーゼルエンジンでは18対1という圧縮比だったが、クリーンディーゼルでは低圧縮化に成功しており、低圧縮化により排気ガスに含まれる窒素酸化物が少なくなったのだ。高圧縮比だとエンジンへの負担がかかるために重くなってしまうが、低圧縮比だとエンジンへの負担を抑えられるため軽量化できるのだ。


従来のディーゼルエンジンではピストンが少し下がったタイミングで燃焼させていた。その理由としては一番上でのタイミングでの燃焼だと温度や圧力が高くなり過ぎるからだ。しかしその方法だとロスが生じるため、運動効率が悪くなってしまう。低圧縮比のクリーンディーゼルではピストンの一番上でのタイミングで燃焼させることが可能になった。そのため燃料をきれいに燃焼できるようになり、ロスも少なくなったことで運動効率が良くなり、エンジンパワーを出しやすくなったのだ。この軽量化と運動効率の向上により低燃費を実現できるようになったため、排気ガスの量も抑えることが期待できる。


ガソリンは、精製する過程でCO2が発生してしまう。軽油でも発生はするが、ガソリンと比較するとその量は少量に抑えることができる。温室効果を持つCO2が増えすぎてしまうと、地球温暖化が進むとされている。そのため、精製過程においてCO2の発生を抑えることのできる軽油を燃料に使用するディーゼルエンジンは、CO2の排出量削減にも期待されているのだ。


日本ではディーゼルエンジン搭載の自動車というと、まだバスやトラックなど商用のイメージが大きい。しかし環境改善意識の高いヨーロッパでは、個人が使用する乗用車にもディーゼルエンジン搭載のものが良く見られる。日本の自動車メーカーではマツダがクリーンディーゼルに力を入れている。
ガソリンエンジン車からディーゼルエンジン車に乗り換えたばかりと言う方はガソリンスタンドで給油する時に間違わないように注意したいところだ。


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