INDEX
社会人になると、生命保険への加入や積立口座の開設など、金融商品を勧められることが多くなる。「金融リテラシー」について学ぶ機会がなく、戸惑ってしまう人も多いのではないだろうか。
「金融リテラシー」は、金融や経済など、お金に関する知識や判断力のことを指す。経済的に自立して、自分らしいライフスタイルを実現するためには、必要な生活スキルだ。
金融にIT技術を取り入れたFinTechにより、金融・投資サービスが多様化するなか、若者の金融リテラシーの現状に関する調査が行われた。
調査レポート「金融リテラシーに関するアンケート調査」
2018年3月1日、株式会社Good Moneyger(グッドマネージャー)は、「金融リテラシーに関するアンケート調査」の結果を発表した。Good Moneygerは、“FinTech × Communication”で難しいと思われがちな金融や投資の世界を、より多くの人にとって身近なものにすることを目指す企業だ。
調査は、大学生・大学院生200名、若手ビジネスパーソン300名の計500名を対象とし、2018年2月にインターネット調査で行われた。
調査でははじめに、いくつかの金融関連ワードとともに「金融リテラシー」の認知率について調べている。金融関連ワードの中で、最も認知率が高かったのは、「仮想通貨」の72.8%だった。「金融リテラシー」の認知率は47%で、若者の半数近くが、みたり聞いたりしていることになる。「つみたてNISA」や「iDeCo」「ロボアドバイザー」「ブロックチェーン」「ソーシャルレンディング」などのワードも40%以上の認知率となっている。
その一方で、「金融リテラシーに関する意識・行動」の調査では、「自身の金融リテラシーは高くないと感じる」という若者割合が9割を越えた。「ニュースなど、経済に関する情報を日常的にチェックしている」という人は11.6%、「自身の収入や支出の状況をきちんと把握している」という人も23.2%と低い値になっている。金融関連ワードへの関心の高さに比べ、実際の意識や行動においては積極的ではないようだ。
それは、「金融・投資商品の保有率・購入経験率」の低さにもあらわれている。最も保有率が高い「株式」でも11.8%だ。若者の大半は、金融・投資商品を保有したことがなく、その結果、金融や投資に関するテーマを他人事、自分とは関わりのないことと感じてしまっているのかもしれない。
そこで、「金融・投資商品の購入経験者と非経験者における、金融リテラシーに対する意識・行動の違い」の比較が行われている。「ニュースなど、経済に関する情報を日常的にチェックしている」という人は、購入経験者と非経験者でそれぞれ26.8%と6.4%、「自身の収入や支出の状況をきちんと把握している」という人は、それぞれ41.7%と16.9%となっており、違いが明確だ。
金融・投資商品の購入が、若者の金融リテラシーに対する意識や行動を変える大きなきっかけとなっている様子がうかがえる。単なる知識にとどまらない、実践的なお「金の教育」が必要なのかもしれない。
これからの時代に必要な「お金の教育」
先進国の中でも、日本人の金融リテラシーは低いといわれている。それは、学校での「お金の教育」によるものかもしれない。
「日本証券業協会」が金融経済教育に関して行った調査では、「経済の基本的な仕組み」を取り上げる中学校・高校は過半数を超えるが、「クレジット・ローン・証券」、「保険の役割」について取り上げるのは3~4割程度だった。
現場の教師からは「知識は身に付くが、能力や態度が身に付きにくい」や「金利や金融商品の種類、リスクとリターンの関係など、実践的な知識が少ない」といった問題点も指摘されている。
一方、米国では、「金融リテラシー」を高めるために、中学・高校でファイナンス教育を取り入れる動きが見られる。米国内で「パーソナルファイナンス」を必修科目に定める高校は16.4パーセント程度だ。5つの州では同科目が全ての高校の卒業必修単位に含まれている。
ウィスコンシン州の「Oconomowoc High School」では、パーソナルファイナンスの授業を全生徒に受講させている。授業では、クレジットカードの使い方や借地・借家契約書の読み方、投資、学生ローンの返済方法などを扱う。「子どもたちには将来起こりうるシナリオに備え、知識やスキルを身につけてほしい」というのが必修化の目的だ。
FinTechサービスを実際に利用することが、「金融リテラシー」を高める
FinTechにより多様な金融・投資サービスが登場し、若者は関心を持っている。しかし、学校での金融経済教育が、「経済の基本的な仕組み」に偏り、「実践的な知識」が不足することで、実際の利用へ踏み出すのが難しいようだ。
今回の調査では、「実際に金融・投資商品を購入した経験がある層」のほうが「金融リテラシー」が高いという結果が出ている。
経済的に自立して、自分らしいライフスタイルを実現するために、必要な生活スキルとしての「金融リテラシー」を高めるには、関心のあるFinTechサービスを実際に利用してみるのが、いいのかもしれない。
img: PR TIMES