富士通および富士通研究所、フランスの国立研究機関Inriaが、IoT機器などで取得される時系列データの異常検知を行うAIモデルを自動で作成する技術を開発したことを発表した。
近年、AI技術の発展により、様々なビジネス領域でAIの導入が進んでいる。AIモデルの作成現場では、AI専門エンジニアの人手により作成されることが一般的だが、試行錯誤を繰り返しながら作り上げるため、多大な工数による現場への導入遅延が懸念され、作業の自動化が求められているという。
こうした背景を受け、富士通らはTopological Data Analysis(以下、TDA)技術(※)を用いた富士通研究所独自の時系列データ解析技術を活用することで、数多くの種類の情報が複雑に絡み合う時系列データの中から異常検知に必要な情報を自動で抽出し、異常検知を行うAIモデルを自動作成する技術を新たに開発。
同技術の活用により、専門のエンジニアだけでなく一般のエンジニアでも容易にAIによる時系列データの異常検知モデルや分類モデルの作成が可能となる。さらに、作業工数も従来の100分の1に削減できるため、様々なビジネス領域におけるAI適用の加速化が期待されるという。
また、開発した技術は、Inriaが開発したTDAのOpen Source SoftwareであるGUDHIに実装され、3月16日より無償で公開される。これにより、企業や研究機関などにおけるAI活用を促進するとともに、そのフィードバックを技術改良に継続して反映していくことで、様々なケースで使えるAIモデルの作成を実現していくとのことだ。
富士通研究所では、今後、同技術を富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」に活用していくとしている。
(※)Topological Data Analysis技術:データをある空間内に配置された点の集合とみなし、その集合の幾何的な情報を抽出するデータ分析手法のこと。