川崎重工は、東京海上日動火災保険(以下、東京海上)、三井物産と、宇宙ごみ(スペースデブリ)除去の事業化(事業性・経済性の検討)を目的とする協業に合意したことを発表した。

現在宇宙空間には、打ち上げられたロケットや、運用を停止した人工衛星およびそれらの部品などの宇宙ごみが、2万個以上(直径10cm以上のもの)軌道上を周回し、近年は情報通信事業や地球観測データサービスなどのビジネス展開を目指す企業が、小型人工衛星群(コンステレーション)構築のため多数の人工衛星の打ち上げを計画しており、国際宇宙ステーションや人工衛星への衝突リスクに加え、既存のデブリとの衝突によるデブリ増殖のリスクが懸念されているという。

そのため、安全な宇宙ビジネス市場の発展には、宇宙ごみ除去の必要性が高まっているとのことだ。

本協業では、各社の強み(※1)を活かし、宇宙ごみ除去市場の創出のためのスキーム構築のほか、法整備や国際協調などの実現に向けた働きかけを行い、さらに、宇宙ごみ除去の技術やビジネスモデルを応用し、今後10年で市場規模が30億ドル超になると予測される(※2)人工衛星向け軌道上サービス(燃料補給、修理改修、軌道離脱、救出など)の事業性の検討を開始するとしている。

三社は、宇宙ごみ除去を実現するビジネスモデルの構築を目指すとともに、今後も宇宙ビジネスの発展と安全な宇宙空間の利活用に積極的に貢献していく方針を示している。


※1 川崎重工:宇宙分野の実績および宇宙ごみ除去に関する知見
※2 Northern Sky Research社レポートより