昨今では働き方改革が叫ばれ、個人の働き方が多様化し、副業を行うことを認める企業も出始めている。

転職に関しても売り手市場であることと、世間の“転職を容認する空気”に支えられ、転職しやすい環境が整ってきたと感じる。

このような中で、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社(旧社名:株式会社インテリジェンス)が運営する転職サービス「DODA」が、転職希望者4万人に対して行った転職理由調査の結果を発表した。

「ほかにやりたい仕事がある」が1位に

リーマンショック後は、「会社の将来性が不安」という転職理由が数年に渡り1位を占めていたが、2012年上半期(2012年4月~9月)から現在まで、「ほかにやりたい仕事がある」が1位を占めている。

次いで2位が「会社の将来性が不安」(9.8%)、3位が「給与に不満がある」(8.8%)という結果となっている。

待遇改善のために転職を考える人の割合が上昇

特徴的なのは、「給与に不満がある」や「会社の評価方法に不満がある」などの待遇に関する項目を理由に転職する人の割合が上昇したことだ。

2017年4月~9月は、最高益を更新した企業のニュースが数多くあったが、社員に還元する企業は限定的であった。それが、「同じ会社にいても給与が上がらないのではないか」「自身の仕事が正しく評価されていないのではないか」との考えにつながったと予想される。

また、この半期は「働き方改革」によって、長時間労働の抑制に力を入れた企業が多く、残業代の減少を理由に「給与に不満がある」と回答する人がいたことも特徴的なことの一つとなっている。

DODA編集長の大浦氏は、

「転職市場の求人数は増え、求人のバリエーションが広がり、個人は転職も選択肢の一つと考え始める人が増えています。」

と語っており、これは現在のビジネスパーソンが転職という、「人生の転機」を前向きに捉えるている現れともいえるだろう。

今の会社より、少しでも条件の良い会社に転職しようという理由で転職活動を始める人が多いため、待遇に関する転職理由は増加しているのだろう。そしてその背景があるからこそ、DODAは「条件は、今よりいい会社。以上。」というキャッチコピーのもと、プロモーションを行なっているのかもしれない。

女性の転職市場

女性の場合はどうだろう。

産休やライフステージの変化による休職や退職が多い傾向にある女性では、「雇用形態を変えたい」「家庭環境の変化によるため」といった転職理由がランクインした。

しかしその一方で、1位が「ほかにやりたい仕事がある」、次いで2位が「給与に不満がある」となっており、社会で活躍する女性が増えたことを象徴する結果となった。

求人数が増加している状況は、さらに女性が活躍できる場が増えたということでもあり、転職希望者に占める女性の割合も増加し、「やりたい仕事への転職」を希望する人が増えている。

個人としてどう働くか

今後近い将来、今まで以上に働き方は流動的になり、AIなどの登場で今ある仕事がなくなる、新しい仕事にリプレイスされる、ということが現実となっていくだろう。
その変化を受け、今後ますます転職市場は盛り上がりを見せるはずだ。

重要なのは、変化していく社会の中で、何を軸として転職をするのか。
ひいては、個人としてどのような働き方を選択するのか、未来を予測しながら考えられることになっていく。

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