シャープは、NTTドコモ(以下、ドコモ)と共同で、「ドコモでんき」で実施した家庭用エアコンのDR(デマンドレスポンス)制御(※1)の実証実験が、約33%の消費電力削減効果が得られたことを発表した。

シャープは、AIoT家電の開発で培った技術をもとに、家庭内の機器の消費電力を抑制し、DR制御により、電力の需給変化にも柔軟に対応する省電力遠隔制御プラットフォームの開発を進行。
同プラットフォームを活用した新たなエネルギーマネジメントシステムの構築に向け、2024年6月にドコモとの協業を開始したという。
実用化に向け、ドコモが提供する電力サービス「ドコモでんき」において、ドコモおよびシャープの従業員を対象に2024年夏季、冬季および2025年夏季の3回にわたり、シャープ製エアコンを使用したDR制御の実証実験を実施。
2024年夏季の実証では、各世帯の運転状況や住宅性能、参加者からのフィードバックなどを同プラットフォームが分析・学習し、エアコンの設定温度を制御した結果、参加世帯平均で約33.5%の消費電力削減効果を確認したという(※2)。
参加者へのアンケート調査では、95%以上の参加者から「快適性に問題がない」との回答が得られ、家庭用エアコン単独でのDR制御として「節電効果」と「快適性」の両立も確認したとのことだ。
また、2024年冬季には、実験室評価においても同等の効果を得ているという。さらに、猛暑を記録した2025年夏季には、暑熱対策に配慮したアルゴリズムを追加したうえで実証を実施。参加者の安全性とともに、各世帯平均で約33.2%の消費電力削減効果も確認したとしている(※3)。
同実証結果を受け、ドコモが提供する「ドコモでんきエコ得プログラム」の自動エコモード対象機種に、2026年3月からシャープ製エアコンを追加(2020年以降に発売された機種で、無線LAN機能に対応するシャープ製エアコンが対象)。
対象機種の追加に先立ち、ドコモが「シャープエアコン自動エコモード事前エントリーキャンペーン」を実施するという。
シャープは、同実証で得られた知見をもとに、エアコン以外の機器や蓄電池も制御対象に加えることを目指すとしている。また、快適性を保ちながらDR制御を実現するエネルギーマネジメントシステムの構築を通して、カーボンニュートラル社会の発展に貢献するとのことだ。
(※1)DR(デマンドレスポンス)制御
電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、供給状況に応じて需要側の消費パターンを変化させること。
(※2)消費電力削減効果は、経産省資源エネルギー庁の定める、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドラインに基づき評価。エアコンは当日内での使用変動が激しいため、High4of5(当日調整なし)を利用。エアコンの使用がない日も計算の対象となるため、あまり使用しない世帯において、ベースライン計算結果に異常値が発生したコマは除外。
(※3)運転制御により、室内のWBGT(暑さ指数)値が厳重警戒値の範囲に入るときはDR制御を実施しないことを確認。
