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学情は、2027年卒業予定の学生を対象に「就職人気企業ランキング」を実施し、結果を公表した。
■トップは8年連続伊藤忠商事
調査の結果、総合ランキングの1位は8年連続で伊藤忠商事となった。2001年以降、過去最長の連続トップ記録を更新したという。伊藤忠商事は非資源分野を主力としつつ、システム開発を手掛ける子会社が伸長し、2024年度の純利益では過去最高益を記録。アパレルやコンビニエンスストア大手ファミリーマートを軸とした生活消費分野の展開が、学生から「生活に身近な商社」として支持された要因とみられる。午後8時以降の残業を原則禁止する「朝型勤務」や、学生が社員複数名と対話できる「集団社員訪問」など、就活生に寄り添う取り組みが好感を集めたという。

■「鬼滅」「国宝」効果で東宝が3位 女性人気1位に上昇
前回5位の東宝が3位にランクインした。特に女性ランキングでは前回4位から1位に浮上したという。2025年は「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」や「国宝」などの人気作品が相次ぎ、興行収入ランキングで上位を独占。2025年度は最高益を見込むなど、業績の好調さが人気を後押ししたとしている。
■エンタメ関連は任天堂・集英社・KADOKAWAなどが上位
エンターテインメント業界の人気も根強く、任天堂が4位にランクインした。「ニンテンドースイッチ2」の好調が背景にあるという。集英社(7位)は「鬼滅の刃」「呪術廻戦」などのヒットコンテンツを多数抱え、KADOKAWA(9位)はソニーとの提携によるIP(知的財産)強化戦略が注目されている。
サイバーエージェント(36位)もゲーム・映像制作事業の拡大が評価され、総じてコンテンツ力を持つ企業が上位に入った。
■旅行・運輸業界が大幅ランクアップ JTBは19位→8位に
インバウンド需要の回復を背景に、旅行・運輸業界の人気が復調した。JTBグループは前回19位から8位へ大幅上昇し、2024年度の売上高は2期連続で1兆円を超えた。
また、ANAホールディングス(14位)は過去最高の売上を記録し、JAL(日本航空)(26位)も増収で上位を維持。新卒市場でも観光需要の回復を反映した動きが見られたとしている。
■金融系は株高報道で人気回復 一方で自動車業界は関税影響で低下
金融系企業も底堅い人気を示した。三菱UFJ銀行は33位(前回58位)、三井住友銀行は52位(前回77位)、りそなグループは63位(前回105位)と大幅に順位を上げた。
また、野村證券(83位)、大和証券グループ(91位)などの証券系、三井住友海上火災保険、第一生命保険などの保険系企業も上位に入った。背景にはマイナス金利政策の終了や株価上昇の報道が影響したとみられる。
一方、自動車業界は順位を落とした。トヨタ自動車は42位(前回25位)、デンソーは199位(前回140位)となり、いずれも下落した。トランプ政権による関税政策の影響で減益が続き、自動車業界全体で学生人気が下がったとのことだ。

【調査概要】
調査主体:学情
調査期間:2025年3月1日〜10月31日
調査対象:2027年3月卒業予定の全国大学3年生、大学院1年生
有効回答数:15,492件
調査方法:
① Re就活キャンパス登録学生へのメール告知・Web入力フォームによる回収
② 学情主催イベント来場学生へのWebアンケート回収
回答形式:選択式(最大5社)
<参考>
学情『2027年卒学生対象「就職人気企業ランキング」』
