ベイシアは、「ベイシア前橋みなみモール店」に太陽光発電設備と蓄電池を新たに導入し、他店舗で発生した余剰電力を融通する仕組みを構築したと発表した。

商業施設パワーモール前橋みなみ 太陽光発電設備

同取り組みは、太陽光発電・蓄電池・循環型電力を複合的に導入する同社初の事例であり、アイ・グリッドが提供する電力循環の仕組みを活用して店舗間を仮想発電所(VPP)(※1)として機能させる初の試みだという。

同社では、2025年11月時点で46店舗においてアイ・グリッドと連携した太陽光発電設備を導入しており、そのうち21店舗で余剰電力が発生しているとのことだ。

今回、前橋みなみモール店に新設した2台の産業用蓄電池と太陽光設備を活用することで、これら21店舗で生まれた余剰電力を電力系統を通じて同店に融通し、再生可能エネルギーを無駄なく使えるようになる。

また、これらの余剰電力は2026年4月からアイ・グリッドの「循環型電力」として本格的に活用される予定だという。

さらに、蓄電池を活用したタイムシフト運用により、日中の太陽光発電量が多い時間帯に他店舗からの余剰電力を蓄電し、朝や夕方など発電量が少ない時間に放電することで、電力使用の効率化も図るとしている。

同取り組みによって前橋みなみモール店では、9時〜15時の店舗運営を実質再エネ100%(※2)で賄える見込みで、年間の総電力消費量に占める再エネ比率も約40%に達するとしている。

店舗間で余剰電力を融通する仕組みは、再エネの地産地消を促進するだけでなく、地域全体の電力需給の安定化にも貢献する見通しだ。

さらに、アイ・グリッドが複数店舗の電力管理を一体的に行い、VPP(※1)として機能させる仕組みを構築することで、ベイシアグループ全体として再生可能エネルギー活用を最大化し、GX実現に向けた基盤づくりを目指すとしている。

再エネ有効活用のVPP※1(仮想発電所)のイメージ図

■取り組み概要

【ベイシア前橋みなみモール店の設備概要】
太陽光発電:PPA(※3)モデルによる屋根上太陽光発電(598.7kW/パネル枚数:1,222枚)
蓄電池:産業用蓄電池(193.5kWh×2台/合計387kWh)

【導入全店舗の概要と効果】
導入店舗数:46施設(うち5施設に蓄電池併設)
総発電容量(46施設分):合計27,409.8kW
蓄電池総容量(5施設分/6基):合計1,161kWh
CO2排出削減効果:11,594t-CO2(※4)

(※1)ベイシア各店舗に分散する太陽光発電や蓄電池などのエネルギーリソースをアイ・グリッドのICTを使って遠隔で統合・制御し、一つの大規模発電所のように機能させる仕組み。発生した余剰電力をベイシア前橋みなみモール店に循環させる仕組み(循環型電力)を同時に導入することで、再エネを最大活用することにつなげます。
(※2)循環型電力と非化石証書を組み合わせた電力プラン。
(※3)「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略。発電事業者(PPA事業者)が電力需要家の敷地や屋根等のスペースに太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電力を電力需要家に提供する仕組み。今回のベイシア前橋みなみモール店ではPPA事業者はJA三井エナジーソリューションズ。プロジェクト企画・運用はアイ・グリッド・ソリューションズ。
(※4)令和5年度の全国平均係数CO2排出係数0.423 kg-CO2/kWh(発電効率1,000)を元に算出。