東京都練馬区と小田急電鉄は、粗大ごみ収集運搬システムの構築に向けた連携協定を締結し、廃棄物収集資源化支援サービス「WOOMS(ウームス)」の新機能を活用した実証実験を開始した。東京23区で初の取り組みであり、DXにより粗大ごみ収集運搬業務の効率化と円滑化、作業員のスキル平準化効果を検証し、収集運搬体制の持続可能性向上を目指すとしている。

実証実験は、2025年11月10日から2026年3月31日まで、練馬区全域を対象として実施するという。対象車両は粗大ごみ収集車など10台程度であり、粗大ごみ収集運搬体制の構築と持続可能性向上を主な目的としている。
練馬区では現在、粗大ごみ収集業務を練馬区環境まちづくり公社に委託しており、1日約1,000件の粗大ごみ収集申し込みに対し、収集車1台あたり約100カ所を巡回しているという。受付業務は両備システムズの「Eco伝(エコデン)」を導入してデジタル化している一方で、収集ルートの作成は担当作業員が紙の地図を用いてアナログで行っており、区内の地理や収集に関する幅広い知識と高い技術を持つ経験豊富な作業員に依存している現状があるとのことだ。

WOOMSは、小田急電鉄が自治体や事業者向けに提供する、収集車の収集運搬状況を即時に取得・共有できるシステムなどを通じて業務効率化を支援するサービス。今回の実証では、新機能によりEco伝で取得した収集日、場所、品目などの情報をWOOMSに連携し、収集効率の良いルートを自動で作成する。さらに既存機能も活用し、収集ルートを迅速に共有することで、複数の収集車同士が進捗状況をカバーし合う体制を構築し、業務の効率化と円滑化を図る。
具体的には、従来は作業員2人で1日あたり3.5時間をかけて手作業で行っていたルート作成業務について、自動ルート作成機能により作成時間を5分程度に短縮できる見込みだという。また、作業員が紙の地図を確認しながら現場に向かっていた従来の運用から、GPS付きタブレットのナビゲーションを用いて現場へ向かえるようにすることで、通行禁止区間や注意事項などの細かな情報を迅速かつ容易に共有でき、ルート間違いの防止が期待できるとのことだ。
運行状況の把握については、これまで収集車両の運行状況を正確に把握できていなかったが、WOOMSを活用することで、各収集車の位置や収集状況が90秒ごとのタイムスタンプとして表示・記録され、パソコン画面の地図上でモニタリングできるようになるという。これにより、複数の収集車で収集状況をカバーし合う体制を構築することが可能になるとしている。
さらに、収集ルートに関する熟練作業員の知見を地図情報と紐づけてチームで共有することで、作業員のスキル平準化と安定的な収集運搬体制の構築につなげる狙いがあるという。区は今後、実証結果を踏まえて粗大ごみ収集業務の効率化を進める方針であり、小田急電鉄との連携のもと、業務効率化とDXにより生まれたリソースを活用して循環型社会の実現を目指すとしている。
