マイナビは、派遣社員として勤務する20〜59歳の男女を対象に、「派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版)」を実施し、その結果を公表した。

■派遣社員の約7割が「派遣社員として働くこと」に満足 理由は「有給休暇や休日が取得しやすい」「業務の責任が重くないから」

現在、派遣社員として働いていることに満足している割合は69.3%だった。

派遣社員として働いていることに対する満足度

「満足」している理由は、「有給休暇や休日を取得しやすい(33.0%)」が最多で、「業務の責任が重くないから(24.5%)」と続く結果に。一方、「不満」の理由は、「賞与がない・少ない(54.9%)」が最多で、次いで「給与が低い(48.1%)」が続いた。

また、派遣社員の平均時給は1,488円で、前年の1,475円から13円増加。理想の時給との差は156円で、前年の175円差から19円縮小したものの、現実と理想の報酬には依然として乖離がある結果に。

派遣という働き方には、プライベートを重視しやすい点や責任の範囲が明確で過度な負担を避けやすいといった利点がある一方で、賞与や給与など報酬面に関して不満を抱く人も一定数いることがわかった。

【左】派遣社員として働くことが「満足」「不満」な理由、
【右】「現在の時給」と「理想の時給」のギャップ

■約4人に1人は前職の雇用形態が「正社員」 派遣社員を選んだ理由は、時間的・精神的余裕を得るため

前職の雇用形態は、「派遣社員(59.3%)」が最多で、次いで「正社員(24.3%)」となった。

前職が「正社員」だった人に「派遣社員」を選んだ理由を聞くと、「責任が重くないから(26.2%)」「すぐ仕事に就けるから(23.5%)」がトップとなり、心理的負担の軽減や就業までのスピード感を重視していることがうかがえる。

また、前職が「正社員」だった人に対して、「正社員」と「派遣社員」のゆとりの差を聞くと、「経済的なゆとり」については「正社員(73.3%)」との回答が多い一方で、「時間的なゆとり」では「派遣社員(55.9%)」が多く、「精神的なゆとり」でも「派遣社員(40.0%)」の方が多い結果に。

雇用形態の選択においては、経済的な側面と、時間的・精神的なゆとりの側面を照らし合わせながら、それぞれの価値観や生活状況に応じた最適な判断がなされていると同社は推測している。

【左】前職の雇用形態と派遣雇用を選んだ理由、
【右】正社員と派遣社員における「ゆとり」の比較

■今後、正社員を希望する割合は29.9%で、前年から3.3pt増加 背景には「賞与」「賃金」など報酬と雇用の安定性を希望する声も

今後も「派遣社員」として働くことを希望する割合は42.9%で、前年の48.2%から5.3pt減少。一方、今後「正社員」を希望する「派遣社員」の割合は29.9%で、前年の26.6%から3.3pt増加している。

今後「正社員」を希望する理由では「賞与(ボーナス)が欲しいから(69.9%)」が最多で、次いで「雇用が安定しているから(57.7%)」、「賃金が高いから(48.3%)」が続いた。

【左】今後希望する働き方、
【右】今後正社員を希望する理由

■AIの進化により、仕事が減少することに不安を感じている割合は約3人に1人 「テレオペ・テレマーケティング」「オフィスワーク・事務」では4割超

AIの進化により、仕事が減少することに不安を感じている「派遣社員」は35.3%だった。職種別では「テレオペ・テレマーケティング(42.6%)」や「オフィスワーク・事務(42.0%)」など定型業務が中心となる職種で不安感が高くなる結果に。

一方で、人間的な判断やケアが求められ、定型業務となりづらい「医療・介護・福祉・教育(26.5%)」では相対的に低く、職種によって不安の程度に差がみられた。

また、仕事の減少に不安を感じている「派遣社員」のうち、将来に向けてリスキリングを行っている割合は19.8%にとどまり、不安を感じながらも具体的な行動をしている人は限られていることが明らかになった。

【左】AIの進化による仕事減少への不安感、
【右】AIによる仕事減少への不安を感じる派遣社員のリスキリング状況

<参考>
マイナビ『派遣社員の意識・就労実態調査(2025年版)