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- 本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取り組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。
企業の成長過程における「ターニングポイント」に焦点を当て、直面した困難やその後の成長に迫る「THE StartUP – 革新を生み出す一シーン」。今回登場するのは、「ミキワメ適性検査」「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」「ミキワメマネジメント」など、人の内面を可視化するHRサービスを展開する株式会社リーディングマークだ。代表・飯田悠司氏が2008年、東京大学在学中に創業し、「人の自己実現を支援する」という普遍的なミッションを掲げ、AI時代のHRプラットフォームNo.1を目指す同社だが、その道のりは平坦ではなかった。大きなターニングポイントとなったのが2020年、離職率3割超という組織崩壊と、売上7割減の経営危機の直面。この危機をどう乗り越えたのか。代表取締役社長の飯田 悠司氏に価値観の再定義と事業革新のプロセスを聞きながら、そのターニングポイントに迫る。
設立 |
2008年1月に株式会社istを設立 2011年9月に社名を株式会社リーディングマークに改名 |
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本社所在地 | 東京都港区虎ノ門3丁目8番21号 虎ノ門33森ビル 10階 |
事業内容 | Personality Techを活用し、適性検査「ミキワメ適性検査」や組織診断「ミキワメウェルビーイングサーベイ」、就活支援サービス「ミキワメ就活」などを提供 |
企業の成長過程における ターニングポイント |
「就活系オフラインイベント」が主力であったものの、コロナ禍でイベントの中止を余儀なくされ、売上の約7割が消失するという創業以来最大の危機に直面。再建のための「誰一人として解雇しない」という決断が「ミキワメ」立ち上げの原動力となり、社員の奮起を受け、オンライン化や新サービス展開を推進。 |
組織崩壊から「ミキワメシリーズ」誕生への経緯
2020年、リーディングマークは創業以来最大の経営危機を迎える。新卒採用イベントを中心としたオフライン事業は、コロナ禍で突如すべて停止。売上の7割を失い、倒産の二文字が現実味を帯びた。離職率は3割超、わずか2年で社員の6割が退社。毎日のように退職の連絡が入り、「相談があります」という一言にすら動悸を覚えるほど、飯田氏は精神的に追い詰められた。
しかし、ここで飯田氏が下したのは「誰も解雇しない」という決断だった。経営陣の給与は減らしつつも、社員の雇用は守り、「こんな時だからこそ、人を信じる組織であり続けよう」と全社に呼びかけた。この言葉に社員が奮起し、驚異的なスピードで就活イベントのオンライン化を実現。さらに新規事業として「ミキワメ」を始動させた。
その過程で浮き彫りになったのは、「人を正しく理解できていない」という根本的課題だった。能力や価値観のミスマッチこそが離職を招き、組織の力を削いでいた。そこで「人の内面を科学的に可視化する」という新たな視点だ。

急速な採用で入社したメンバーと古参社員の間に深い溝が生まれ、評価基準や目標の共有が不十分なまま部門間連携が崩壊。会議は正論のぶつけ合いで長引き、プロジェクトは停滞、顧客対応の質も低下した。
根本的な原因は「採用基準の不在」と「組織文化の未成熟」。急成長フェーズでは人員確保が優先され、文化的フィットや価値観の一致よりも即戦力性が重視された。その結果、方向性の異なる人材が同じチームに集まり、摩擦が激化。
飯田氏は当時を振り返り、「経営者として一番大切なのは、事業の成長以上に“人”を理解することだと痛感しました。採用の失敗は、組織全体の信頼や士気を一気に崩します。だからこそ、客観的かつ科学的に“人となり”を見抜く仕組みが必要だったのです」と語る。
科学的に“人となり”を見抜くツールへ
「ミキワメ適性検査」は、心理学とAIを融合した独自アルゴリズムで、候補者の性格特性を可視化。自社での活躍可能性や懸念点を一目で把握できるため、従来の“直感”や“相性”頼みの採用を、データに基づく確かな判断へと変える。
さらに2022年には、社員のメンタル状態や満足度を可視化する「ミキワメ ウェルビーイングサーベイ」をリリースし、「今、誰がどんなコンディションか」を把握し、適切なケアや配置を実現。2025年には1on1面談の質向上を支援する「ミキワメマネジメント」を発表し、AIと人の力で組織の現状を見抜くサービスへと進化している。

組織崩壊を通じて得た同社最大の学びは「価値観の共有こそ組織の土台」。これを忘れないため、社員有志による「バリュー浸透委員会」が発足し、行動指針を全員で考え直した。
ミキワメの導入企業は2,500社を超え、採用ミスマッチ低減、離職率改善、エンゲージメント向上に成果を上げ、データを活用した継続的なモデル改善も進行中だ。
「AI時代のHRプラットフォームNo.1」を目指し、AI解析と心理学を組み合わせた新機能を次々投入している。飯田氏は「崩壊を経験したからこそ、本当に必要なものが見えました。組織もプロダクトも、完成ではなく進化し続けるものです」と語る。

崩壊からの再生がもたらした学び
「日本が直面している本質的な課題は、『辞めやすさ』ではなく、いまもなお解決されていない『個人の定着・活躍』にあります。国全体の成長速度が鈍化する中でも、現場の生産性は着実に進化しており、ここにAIの力を掛け合わせることで、さらなる飛躍が可能になると私たちは考えています。
ミキワメはこれまで、『ミキワメ適性検査』『ミキワメ ウェルビーイングサーベイ』『ミキワメ マネジメント』を通じて、人の内面を科学的に解析し、離職防止や才能発揮を後押ししてきました。今後は、こうした「個人を理解する技術」をAIでさらに進化させ、経営幹部や管理職が抱えがちな評価ギャップを解消し、立場や人間関係に左右されないフィードバックを可能にします。
AIが継続的に伴走し、日常業務の中で学びを実践・定着させるサイクルをつくることで、企業は持続的な成長を、個人は自己実現を実感できる環境を実現します。
私たちは、AIと人的資本の融合をさらに深め、『日本の生産性向上』に全力でコミットし続けます」。
- 飯田 悠司
- 代表取締役社長
- 2005年東京大学経済学部へ入学。仕事にやりがいを感じる日本人が18%しかいないという状況に危機感を覚え、在学中の2008年1月に株式会社istを起業。2011年9月に社名を株式会社リーディングマークに改名し、キャリア支援プラットフォーム「ミキワメ」を中心とした就職・採用活動支援サービスを展開中。